馬産地ニュース

中国馬産業講演会及び情報交流会が開催される

  • 2010年10月26日
  • 講演会場
    講演会場
  • 中国馬業協会の岳高峰常務副秘書長
    中国馬業協会の岳高峰常務副秘書長
  • 競馬国際交流協会小池尚明理事長
    競馬国際交流協会小池尚明理事長
  • スライドを使用しての説明
    スライドを使用しての説明

 オータムセール最終日に18頭の1歳馬を購入して存在感を示した中国競馬関係者による「中国馬産業講演会及び情報交流会」が22日、新ひだか町の静内ウェリントンホテルで行なわれた。

 主催したのは2003年頃から中国において馬産業の現地調査や技術各種の研修事業、そして中国要人の招聘事業などを行なってきた競馬国際交流協会。前日の興奮冷めやらぬといった雰囲気も手伝って100人を超える生産者らが出席した。

 冒頭、小池尚明理事長は「競馬国際交流協会では5年の時間をかけて中国の競馬事業などを調査し、多くのことがわかってきました。今回、3人をお招きいたしましたので、中国への理解を深めていただきたい」とあいさつ。来賓として出席した酒井芳秀町長も「オータムセールにおいては、多くの馬を購入していただいたことを心から感謝し、歓迎したい。今後もこのようなスケールの大きな取引がされることを期待したい」と感謝の気持ちを表現した。

 中国国内の現状を報告したのは、1976年に設立され、現在は国内に約3000人の会員を抱えるという中国馬業協会の岳高峰常務副秘書長。岳氏は、中国国内の競馬場をスライドなどで紹介しながら、今後、中国国内でサラブレッドの需要が急激に増すであろうという予見を述べた。

 岳氏は「中国のGDP成長率は8%前後を記録しており、世界から驚愕の目で見られている。経済の発展は、馬文化の発展にもつながる」と言い、将来的に中国の競馬は①ジョッキークラブが運営する香港形式②競馬法に基づき、農業政策の一分野として発展させていく日本形式③香港と日本のよいところをピックアップして、中国の競馬を創りあげていく、の選択肢があることなどを述べた。

 また、中国が日本からサラブレッドを輸入することに際し検疫の問題やせり規定が大きな足かせになっていることや、高額な馬代金などをあげた。

 中国における近代競馬の歴史は日本よりも古く、19世紀中頃には世界規模の競馬が行われていたが、中華人民共和国の設立後、賭事を伴う競馬が禁止。その後、1980年頃から公安当局が黙認する中で行なわれていたが、現在は完全に停止状態だという。

 しかし、現在でも中国には在来種を中心に約700万頭の馬がおり、中国農政部の管理下に「中国純血馬登録管理委員会」が1999年に設立。日本から中国への馬の輸出は2000年から可能になり、今年3月には最初のステップとして51頭のサラブレッドが輸出されている。閉塞感漂う国内の競馬関連産業に大きなビジネスチャンスを与えるものとして期待されている。