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ユキノサンライズに11番仔が誕生

  • 2010年09月17日
  • ユキノサンライズ2010~1
    ユキノサンライズ2010~1
  • ユキノサンライズ2010~2
    ユキノサンライズ2010~2
  • 母ユキノサンライズと当歳
    母ユキノサンライズと当歳
  • 叔父(ユキノサンライズ2010)と甥(エイダイクイン2010)で仲良くグルーミング
    叔父(ユキノサンライズ2010)と甥(エイダイクイン2010)で仲良くグルーミング
  • 起伏に富んだ放牧地
    起伏に富んだ放牧地

 1990年のフラワーカップ(G3)、1991年の中山牝馬ステークス(G3)、中山記念(G2)と3つの重賞を制したユキノサンライズ(牝23歳、父ホリスキー 母サリュウジョウ)、今年は4月27日にローエングリン産駒の牡馬が誕生している。

 本馬の父ローエングリンは、シングスピール産駒の持ち込み馬。抜群のスタートセンスと軽快なスピードを武器にマイル戦を中心に活躍。中山記念(G2)2勝、読売マイラーズカップ(G2)2勝と重賞を4勝し、通算48戦10勝の成績を挙げた。2008年より社台スタリオンステーションにて種牡馬入りし、初年度95頭、2年目71頭の繁殖を集め、産駒は2011年にデビューを迎える。

 本馬の母ユキノサンライズは中距離を中心に活躍。通算17戦6勝の成績を挙げたが、その6勝は全て中山競馬場で挙げたものであり、制した重賞3つも全て中山競馬場で行われたものだ。中山記念(G2)では、後のG1馬メジロライアンを抑えて逃げ切り勝ちを決めている。

 1991年の愛知杯(G3)3着を最後に引退、生まれ故郷の鵡川町・東振牧場にて繁殖入り。今シーズンまでの18年間で11頭の産駒を送り出している。1995年に生まれた2番仔のエイダイクイン(父メジロマックイーン)がデイリー杯クイーンカップ(G3)を制し、重賞母娘制覇を果たした。

 取材を行ったのは北海道らしくない残暑が厳しい9月上旬。繁殖牝馬が放されている放牧地は厩舎から距離があるということで、東振牧場の佐藤隆博さんに案内していただいた。蒸し暑さを感じる林を抜け、丘を下ると突然心地良い風に包まれた。目の前には、起伏に富んだ地形を利用した大きな放牧地が広がっていた。1kmほど奥に海岸線があり、そこから涼しい海風が流れてくるそうだ。放牧地の敷地内には、湧き水から形成された湿地帯があり、その場所は小さな森を形成し、何とも自然豊かな放牧地となっている。

 「当歳はやんちゃで人懐っこいですが、馬に対してはキツイとこもありますね。期待していますよ」と隆博さん。今年23歳となる母のユキノサンライズについては「見た目以上に元気ですよ。まだまだ元気一杯で、体力的に衰えた感じはありません。放牧地でもボス的存在です。」と語ってくれた。

 放牧地には7組の親仔が居るが、その内の3頭はユキノサンライズの娘(エイダイクイン、エイダイヒロイン、エイダイマリア)だ。「なぜか分からないですけど、ユキノサンライズはヒロインやマリアには何もしないんですけど、クインには厳しいところがあるんですよ」と隆博さんは苦笑いしながら語ってくれた。人間の世界でも「妹は可愛がり、姉は邪険にする母親」の話を耳にすることがあるが、馬の世界の家族関係もなかなか複雑なのかもしれない。

 もっとも、当歳達はそんな複雑な関係など感じさせず、従兄弟同士や叔父と甥で、グルーミングしたり追いかけっこしたりと仲良く遊んでいる。この当歳たちが、大きな舞台で一緒に顔を合わせる日を楽しみに待ちたい。