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クラキンコがホッカイドウ競馬3歳3冠を達成

  • 2010年08月20日
  • クラキンコが堂々たる勝利で3冠達成
    クラキンコが堂々たる勝利で3冠達成
  • 宮崎騎手は感無量の表情
    宮崎騎手は感無量の表情
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん
  • パドックには横断幕が多数掲げられた
    パドックには横断幕が多数掲げられた

 8月19日、門別競馬場ではホッカイドウ競馬3歳3冠ロードの最後を飾る第31回王冠賞(H2)[スペシャルウィーク賞]が行われた。 

 今年は11頭のメンバーが参戦。全馬初経験となる長丁場ダート2600m戦に挑んだ。注目は何と言っても2冠牝馬クラキンコ。今季、ホッカイドウ競馬では3戦無敗。9年ぶりの3冠馬誕生へファンの期待は高まり、前走から7ハロンの距離延長、牡馬相手の一戦でも断然の支持を集めた。クラキンコとは初対戦となる華月賞馬サムライジャパンが2番人気。重賞でも好走歴のあるマサノディフィート、パシコジュリエが3、4番人気に続いた。 

 レースは序盤からケイエムサウザーが大逃げを打ち、縦長の展開へ。クラキンコは4、5番手で折り合いに専念し、サムライジャパン、マサノディフィートが中団で脚をためる。レース後半、外目に出したクラキンコは余力十分に先頭に立ち、抜群の手応えで直線へ。今度は内ラチに進路を取って、鞍上の宮崎光行騎手の右ムチが入ると、他馬を突き放しにかかる。外から猛然とサムライジャパンが脚を伸ばしたが及ばず、気迫の走りでクラキンコが3冠を達成した。 

 ホッカイドウ競馬3歳3冠馬はトヨクラダイオー(1981年)、モミジイレブン(1999年)、ミヤマエンデバー(2001年)に続いて4頭目。牝馬による3冠は史上初の快挙となった。 

 レース後、大役を果たした宮崎騎手は感極まった表情で引き揚げてきた。表彰式のインタビューでは、「無事に3冠達成できて嬉しいです。道中はひやひやするところもありましたが、なだめながら、馬の力を信用して乗りました。心臓がドキドキしました(苦笑)これからもクラキンコの応援を宜しくお願いします。」と、安堵の表情を浮かべて話した。 

 この日は夕方前にはJBC駐車場が満車となり、歴史的瞬間を一目見ようと、門別競馬場には多くのファンで埋まった。レースが近づくと、競馬場全体が静かな緊張感に包まれていた。堂々たる競馬でクラキンコが先頭でゴールを切ると、場内は大歓声と拍手に包まれた。札幌から観戦に訪れた30代男性は、「今日はクラキンコが3冠を達成する瞬間を見たくて競馬場に来ました。地元の活躍馬を両親に持つ馬がここまで走ると思うと、ゴールの瞬間は涙があふれてきました。ホッカイドウ競馬を見続けてきて本当に良かったです。」と、感動しきりの様子でレースを振り返っていた

 クラキンコの生産は日高町の倉見牧場。同馬は父母ともに同牧場の自家生産馬で、ホッカイドウ競馬の重賞ウイナー同士の配合だ。牧場自慢の血統を受け継ぎ誕生した愛娘は、父母を超える栄冠を手にした。育ての親である倉見さんに表彰式後にお話を伺うと、「緊張しましたね。距離もたっぷりありましたから、レースが本当に長く感じました。牧場に帰ったら、クラキンコの父と母に、“娘が頑張ったよ”と声をかけたいです。」と、喜びいっぱいの胸中を語ってくれた。 

 ホッカイドウ競馬を舞台とした血のドラマを知る競馬ファンに感動の勝利をもたらしたクラキンコ。北のニューヒロインが歩む次なるストーリーの行方に今後も目が離せない。