右後肢骨折の影響で7月3日に死亡したオグリキャップのお別れ会が29日、新冠町のレ・コード館町民ホールで執り行われ、1980年代後半から90年代前半に第2次競馬ブームを巻き起こした“芦毛の怪物”に最後の別れを告げた。 

　お別れ会にはJRA土川健之理事長、デビューの地・笠松で騎乗した安藤勝己騎手、JRA所属時代に管理した瀬戸口勉元調教師、オグリキャップの名付け親で初代馬主の小栗孝一氏、生産者の稲葉裕治氏といった所縁の関係者が参列。会場は全国から駆けつけた一般ファンなど総勢約800名で埋め尽くされた。 

　雨の中、お別れ会は現役時代のレースが映し出されスタート。感動のオグリコールがこだますると、会場ではすでにすすり泣く声が漏れた。ラストランとなった有馬記念当時、裁決の補助員として中山競馬場にいた土川理事長は「ゴール前ではスタンド全体が歓声で揺れ、そのあとの17万7000人の地鳴りのようなオグリコールを忘れることはできません。競馬人としてあの瞬間に立ち会えたことが生涯の宝と思っています」と挨拶。JRAの全10競馬場から寄せられた１万3975人分の追悼記帳とともに、競走馬としては異例となる感謝状を、主催者である(株)優駿の村田繁實代表へ贈呈した。 

　小栗氏は「あなたほど競馬ファンに愛された馬はいない。ありがとう。安らかにお眠りください」と感謝。稲葉氏は「父の手を借りず一人で生ませた初めての仔。辛い時あなたが逞しく成長する姿だけが唯一の安心でした。あなたを通し素晴らしい方達と出会えた。あなたの築いた血統を絶やすことなく守り続けていく」と別れの言葉を述べた。 

　一般参列者の献花では、ターフを模した祭壇中央で優しい目を見せる在りし日のオグリキャップに追悼。祭壇に置かれたたてがみを触り、永遠のアイドルホースに最後の言葉を贈っていた。 

　オグリキャップが種牡馬入りしたときの吉田元場長は「おとなしくて手のかからない馬だった。病気になったときは1週間寝ずに看病したことを思い出す」と感慨深い様子。東京から来た60代の女性は「私の中のスーパーヒーローです。本当にありがとう」と冥福を祈っていた。