6月1日、門別競馬場では第38回北海優駿(ダービー)(H1)［ディープスカイ賞］が行われた。

　このレースはホッカイドウ競馬3歳クラシック2冠目にあたり、今年で5回目を数える地方競馬「ダービーウイーク」の第3弾。今年から地方全国交流競走となり、南関東から3頭を迎えた11頭が集結した。

　注目は前走、北斗盃(H2)を快勝し、2冠奪取へ挑むクラキンコ(牝3歳　父クラキングオー)。父クラキングオーは2000年の北海優駿(H1)の覇者であり、また、母クラシャトルも1994年の同レース優勝馬。ホッカイドウ競馬のダービー馬2頭による夢の結晶クラキンコの挑戦に期待は集まり、牡馬相手ながらもファンは1番に人気に支持した。

　にわかに発生した雷鳴と、ダービーウィーク・オリジナルファンファーレがこだまし、決戦の火蓋は切られた。昨年のリリーカップ(H3)優勝馬プリモエナジー(牝3歳　父スマートボーイ)と、川崎から参戦のエクセルチェイサー(牡3歳　父キングヘイロー)の2頭がレースを引っ張り、クラキンコはその2頭を見ながら3番手を追走。持ったままの手応えで直線を迎え、クラキンコの鞍上、宮崎騎手のゴーサインが出ると、力強い脚取りでライバルを置き去りにし、堂々の横綱相撲で親子2代制覇を成し遂げた。同レースの牝馬による優勝は15年ぶりの快挙で、ホッカイドウ競馬にとって頼もしいニューヒロインは誕生した。

　口取りには大勢の関係者がクラキンコを囲み、感動の瞬間を分かち合っていた。生産は日高町の倉見牧場。同牧場の倉見さんは表彰式後、「夢みたいな気分です。北海優駿はもともと目標にしていたレースで、プレッシャーをはねのけてよく頑張ってくれました。北海優駿馬を父母に持つクラキンコの活躍が、少しでもホッカイドウ競馬の活性化につながれば嬉しいです。」と、感無量の胸中を話してくれた。ホッカイドウ競馬を舞台とした“クラ一族”のドラマは、多くのファンの心を打ったに違いない。

　騎乗した宮崎光行騎手は優勝騎手インタビューで、「プレッシャーはあったけど強かったです。初めて乗る馬なので、折り合いに気を付けて、馬を信用して乗りました。勝ててほっとしました。これからも応援宜しくお願いします。」と、安堵の表情で答えた。

　初騎乗ながら見事大役を果たした宮崎騎手は昨年に続いて同レース連覇達成。管理する堂山芳則調教師は調教師として同レース最多の4勝目を飾り、まさに記録ずくめのレースとなった。