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カワカミプリンセス、故郷に凱旋

  • 2009年11月24日
  • カワカミプリンセスと三石川上牧場のみなさん
    カワカミプリンセスと三石川上牧場のみなさん
  • カワカミプリンセス
    カワカミプリンセス
  • 同

  • 上山家での祝宴
    上山家での祝宴
 3歳2月にデビューすると破竹の勢いで5連勝。オークス(G1)、秋華賞(G1)までもを制覇し、続くエリザベス女王杯(G1)では1位入線したものの、直線で他馬への進路妨害が認められたためまさかの降着。この年のJRA賞で最優秀3歳牝馬と最優秀父内国産馬に輝いた。4歳以降は勝ち星をあげることはできなかったが、常に人気の一角を担う存在だった。

 引退レースとなったエリザベス女王杯(G1)、競馬場へ応援に駆けつけたオーナーで生産牧場でもある上山浩司社長の目に映った彼女は「繁殖の体付きになっていましたから、もうお母さんになりたいんだなと思いました。レース内容は理想通りに運びましたがもう力がない印象だったので、西浦調教師と相談して、引退させることに決めたんです」。そして20日、母になるために故郷三石川上牧場へと帰って来た。

 27時間の長旅にもかかわらず元気な足取りで馬運車を降りると、上山社長をはじめとする関係者や近所の人たちが集まる盛大な歓迎を受けた。近隣の牧場主からも「この“三石川上地区”を全国に広めてくれた功労馬でもあるからね。地区全体の宝物のような存在です」と笑顔が耐えない。

 無事に到着して一安心した後は、上山家で祝宴が行われた。「無事に帰って来たら、みんなで万歳して一杯やりたかった」と上山社長。この日は夜遅くまで現役時代の思い出話に花が咲いた。「1 頭の馬でいろいろな経験をさせてもらいました。G1制覇はもちろんのこと、G1で降着したことも、今考えればそうそう経験できないことですからね。こんな静かな場所で生まれた馬が、競馬場で何万人という人から支持を得て、応援してもらって…鳥肌が立ちましたよ。こんなに幸せなことはないって。できればもう1勝させてあげたかったけど、それは子供たちに期待します」。

 注目される初年度の配合相手については「サンデー系になんでも付けられるし、今あれこれ悩んでいる最中です。ファンの方に喜んでもらえるような配合を考えます」と最後まで笑顔の上山社長だった。
取材班