馬産地ニュース

サマーセール・静内農高生産馬「彪牙」が上場

  • 2009年08月27日
  • 展示の様子
    展示の様子
  • セリ最中
    セリ最中
  • 彪牙(牡1歳、父スズカマンボ)
    彪牙(牡1歳、父スズカマンボ)
  • 彪牙に携わった3年生の森田さん、管さん、越智さん、川島さん
    彪牙に携わった3年生の森田さん、管さん、越智さん、川島さん
 8月26日、北海道市場「サマーセール」では、日本で唯一競走馬の生産を行っている高校・北海道静内農業高等学校の生産馬・彪牙(ひゅうが)(牡1歳、父スズカマンボ、母フリソデ、上場番号706番) が上場。見事260万円(税抜) で落札された。購買者はサイレンススズカ、スズカフェニックス、そして、彪牙の父スズカマンボのオーナーとして知られる永井啓弐氏。

 生徒たち曰く、“甘えん坊”という彪牙であったが、若き生産者に導かれ、大勢の購買者や上場馬を目前にしながらも、セリ会場では堂々たる姿を見せていた。
馬術部顧問の杉本忠宏先生は落札の結果を受けて、
「良かった。満足です。やんちゃなところがあって、仕上げには苦労しましたが、最高の結果を出せました。」
と、喜びを言葉にした。

 この日、セリ会場に駆け付けた生徒は9名。そのうち、彪牙の誕生から携わっている3年生4名が中心となって彪牙をエスコートした。

 森田智子さん(3年) は展示の時に引き手を取った。購買者の視察にもしっかりと馬を立たせ、歩かせ、馬とのコミュニケーションを図りながら、慣れない状況下でも立派に役目を果たした。森田さんは、
「私の担当は馬を持っている時間が一番長く、大切なパートの一つとあって大役を任されたことに緊張しました。多くの方に馬を見ていただき、とても嬉しかったです。展示の最中は馬がじっとしていられるように心がけました。大勢の人に囲まれて少しびっくりしましたが、彪牙もよく我慢してくれていました。セリで声がかかって売れた時は感激しました。買っていただいたのは父のスズカマンボと同じ馬主さんですし、感無量です。」
と、感激の様子だった。

 展示の際の駆け足を受け持った川島拓也さん(3年) は、
「駆け足の時はまっすぐ走らせるように気を付けました。こちらの指示通り動いてくれました。夢は天皇賞(春) (G1) の親仔制覇ですね。」
と、声を弾ませた。

 パレードリンクまでの引きつけを担当したのは管直美さん(3年) 。
「馬を落ち着かせて、早く歩き過ぎないように、手綱を強く引き過ぎないように注意して引きました。また、前の馬に近づき過ぎないように間隔には気を付けました。売れた瞬間はとても嬉しかったです。努力は報われるのだなと思いました。競走馬として元気に走って欲しいですね。デビューしたら応援に行きたいです。」
と、笑顔で語った。

 セリ本番、鑑定人と購買者の前で引き手を取ったのは越智崇匡さん(3年) 。緊張感の漂う場面であったが、“宜しくお願いします”の挨拶とともに入場し、人馬共に落ち着いて落札の瞬間に立ち会った。越智さんは、
「競り上がっている時は嬉しかったです。彪牙は甘えん坊ですが、人間には従順な馬です。生産馬・ユメロマンのように活躍して欲しいです。」
と、嬉しそうに話す。また、これまでを振り返って、
「1年と数か月の間、馬から大切なことをいろいろ教わりました。また、自分たちに協力してくれた先生、保護者の皆さん、関係者の方々に感謝したいです。馬の担当は繁殖と育成で分かれているのですが、各自が責任を持ってこなし、連携も上手く行きました。」
と、感慨深く思いを語った。多くの方の協力とこれまでの努力が実った結果といえるだろう。

 落札が決まった瞬間、会場内からは生徒たちに温かい拍手が送られた。めでたく父スズカマンボと同じオーナーと縁が結ばれた彪牙。生徒たちの熱心な教育を受け、立派な競走馬に育つことを期待したい。
取材班