馬産地ニュース

ライターの馬産地紀行 Vol.14~村本 浩平

  • 2008年10月31日
  • 村本浩平
プロフィール/むらもと こうへい 
 1972北海道生まれ。大学在学中に「第一回Numberスポーツノンフィクション新人賞」を授賞。大学卒業後は競走馬育成牧場に勤務。その後、ライターとしての活動を始める。現在は「優駿」「サラブレ」「馬三郎」などの各競馬雑誌や競馬新聞に馬産地で取材をした原稿を寄稿。また北海道日本ハムファイターズの取材を始め、北海道で行われている様々なスポーツにも活躍のフィールドを広げる。
    村本浩平
    プロフィール/むらもと こうへい 
     1972北海道生まれ。大学在学中に「第一回Numberスポーツノンフィクション新人賞」を授賞。大学卒業後は競走馬育成牧場に勤務。その後、ライターとしての活動を始める。現在は「優駿」「サラブレ」「馬三郎」などの各競馬雑誌や競馬新聞に馬産地で取材をした原稿を寄稿。また北海道日本ハムファイターズの取材を始め、北海道で行われている様々なスポーツにも活躍のフィールドを広げる。

 自慢にならない自慢かもしれないが、全道各地のウインズ(WINS)全てに足を運んだことがある。勿論、札幌競馬場と函館競馬場にも取材などで度々訪れているので、北海道で中央競馬の馬券が購入できる施設は全て制覇することができた。

 こんな記録は日本全国の全公営競技場を制覇した須田鷹雄さんと比べると、非常にちっぽけで情けない記録(北海道内は五カ所)かもしれいが、それなりに満足感は感じられるものである。そんなウインズマニアの私、村本が、全道のウインズの特徴や、ちょっとしたグルメスポットなどを記してみたい。

●ウインズ静内
 全国のウインズで最も競馬関係者が訪れるウインズとして知られており、館内では生産者情報が飛び交っているために、的中率も他のウインズよりも著しく高いというまことしやかな噂も流れている。こうしたこともあり、全国のウインズマニア(いるかどうかは微妙だが)には聖地とも思われている節がある。
 だが、実際に足を運んだものの意見からすれば、決してそうでもない、といったところだろうか。
 それは生産者のほとんどがグリーンチャンネルとPATを持っているために、わざわざウインズまで足を運ぶ必要も無くなったこととも関係しているのかもしれない。ウインズの近くにはHBA北海道市場もあり、その隣には競走馬のふるさと案内所もある。吹き抜けの館内は広く、駐車場はHBA内に400台まで駐車OK。週末はウインズで旅費を稼いで、平日はふるさと案内所で聞いた情報を元に牧場見学をするというのが馬産地観光の醍醐味と言えるだろう。

 お勧めグルメスポットは色々あるのだが、日本酒好きな人は「い炉り」、お酒とお肉を食べたいなら「赤ひげ」、お酒とお寿司を食べたいなら「すし居酒屋一鮮」はどうだろうか? チェーン店だが、静内の「養老の滝」は、地物の魚やお肉がメニューに並んでいるので、安く色々なものを食べたいという人にはうってつけのお店である。
 
●ウインズ室蘭
 室蘭も数こそ少ないが、サラブレッドの生産牧場がある列記とした馬産地である。しかも近郊の伊達や登別からはG1馬も誕生している。
 ウインズの場所は国道37号線の近くにあり、なんと駐車場は第1駐車場と第2駐車場を合わせて1142台が駐車OK。ドライブのついでにも優しいウインズである。しかもJR本輪西駅からも徒歩5分。鉄ちゃんにもこの利便性はありがたい。
 
 こちらも建物は吹き抜けで、館内座席数も682席とゆっくりと馬券の検討をするにはうってつけの環境である。しかも、全道のウインズの中でも目立って有人の売り場が多い。
 自動発売機が増えてきた中、人との触れあいを感じたい人にもうってつけのウインズと言える。
 室蘭のグルメと言えば名物となった豚肉を使ったタレ味の焼き鳥、またカレーラーメンも欠かせない。しかし、地元室蘭でしか食べられないグルメを堪能したいという人にぜひとも足を運んでもらいたいのが、JR室蘭駅の近くにある「天勝本店」の天丼だ。個人的にはほたてのかき揚げが入っている特製天丼がお勧めだが、普通の天丼でもかなり満足する。からりと揚がった天ぷらに独特の濃いタレがしみこんだ味はまさに絶品。ボリューミーに肉を食べたいという方には、これまたJR室蘭駅近くの「ノンシャラン」にて、ポークチャップを頼んでもらいたい。一言でいうなら、「凄い!」。

●ウインズ釧路
 道東唯一のウインズということもあり、遠くは網走からも車で競馬ファンが訪れているという、馬券人口の行動半径を全国で最も広げたと思われるウインズ。車で訪れる競馬ファンのためにと、駐車場の台数は全道最多の1450台。さすが北海道! と思わせるだけの広大な敷地面積を誇る。
 
 こちらも建物内は吹き抜け。似たような規模の室蘭ウインズに比べると自動発売機の数が多い。国道44号線沿いにあり、近くには大型ショッピングセンターもあるという立地を考えると、お目当てのレースだけを購入して、あとは買い物を楽しむというのが、釧路やその近郊に住む人たちの競馬の楽しみ方と言えるのかもしれない。
 釧路グルメと言えば炉端焼き。しかし、どんどんと頼んでいると思いの外高額になってしまうこともある。これは和商市場の勝手丼にどんどん刺身を乗せすぎてかなりの額になってしまっただけでなく、味も混ざりすぎてよく分からなくなったという失敗例とも重なるのだが。
 
 釧路だからこそ味わっていただきたいのが、ここが発祥の地とされる‘ザンギ’。北海道の人には鶏の唐揚げとしてポピュラーな食べ物であるが、釧路のザンギの特徴はタレを付けること。タレの味はウスターソースと似た味のような気がするが、個人的にはタレを付けても付けなくても美味しくいただけた。市内にはザンギ専門店がいくつかあるので、ガイドブックなどでお好みの店をお探しください。

 他にはクロレラの粉末を使った竹老園東家総本店の緑色のお蕎麦もつるっといってもらいたいところ。場所は春採湖の近くです。
 またまたボリューミーなグルメスポット紹介だが、「レストラン泉屋」のスパカツ。一言で言うなら「凄い!」(先ほどと一緒ですまん)。泉屋は市内に数店あるので看板を見つけたらどうぞ。

●ウインズ札幌
 ウインズ札幌にはA館とB館がある。双方の距離はそれほど離れていないが、札幌の競馬ファンは7階まであるウインズA館を「ウインズすすきの」、狸小路にある4階立てのウインズB館を「ウインズ狸小路」と呼んでいる節がある。
 A館とB館の違いは、A館には有料のエクセルフロアやキッズルームがあること。また窓口数の違い(A館274窓、B館85窓)がある。そのせいか客層にも違いが出ているようで、A館では当該レースだけを買いに来るライトファンが多く、B館だと1レースから最終レースまでじっくりと楽しむ馬券ファンが多いようにも思える。
 
 札幌開催中のウインズ札幌にも行ったことがあるが、むしろ場の雰囲気に惑わされずに競馬と向き合えることもあってか、的中率が上がるようにも思える。せっかく目の前で競馬をやっているのにもったいない! などと言わずに、空いているウインズで札幌を含めた夏競馬をじっくり楽しむというのも手だろう。
 A館、B館共に近くには民間の駐車場もあるが、そこにお金を落とすのならば、公共交通機関である地下鉄で足を運び、浮いたお金を馬券につぎ込むのが競馬ファンの正しい姿勢と言えよう。
 
 ウインズ札幌近くは札幌の中心部であり、グルメスポットに苦労することはない。その中で札幌色を出したいのなら、スープカレーなどはいかがだろうか? 常に満席の人気店「ベンベラ・ネットワーク・カンパニー」、お洒落な内装で女の子連れでも入りやすい「soupcurry&cafe SPARK」、和風だしのさっぱり味は年配の人でも食べやすい「エス」などがウインズからは徒歩圏である。
 私、村本が、ホームでもあるウインズ札幌(特にB館)に行った際によく足を運んでいる店は、「串鳥」のコロッケランチや、中華料理の「香州」、そしてとんかつの「すみだ川」などがある。「串鳥」のランチはご飯とキャベツが食べ放題。これでいながらほとんどのランチがワンコインで収まる。「香州」は何を食べても美味いが、特にあんかけ系の料理がオススメ。「すみだ川」は定食もいいが、ここはかつ丼を食べてもらいたい。一言で言うなら「丸い!」。まあ、詳しいことは頼んでからに。 この他のグルメやその他色々の楽しみを見つけたい人は、国道36号線を渡ってすすきのへと向かおう。

 実はもう一件、札幌ウインズの近くに馬券で勝っても負けても通っているお店があるのだが、これは内緒にしておく(ちなみにすすきのにあるお店ではない)。一緒に競馬を楽しんだ仲間とその日のレースを振り返りながら、憩いの時間をゆっくりと過ごしたいからだ。そう思っていたら、今週もウインズに行きたくなってきた。皆さんも生活の中に、そして旅行のスケジュールにウインズを入れてみてほしい。