馬産地ニュース

ライターの馬産地紀行 Vol.11 ~浅野 靖典

  • 2008年07月28日
  • 浅野 靖典

プロフィール/あさの やすのり
 グリーンチャンネル・中央競馬中継のキャスター就任を機に、一般企業のサラリーマンから競馬の世界に参入。以来、中央・地方・海外の競馬場のみならず、馬産地にも足繁く訪問。現在は各種媒体への寄稿を中心に、JRAブリーズアップセールなど各地のセリ市の進行役も担当。グリーンチャンネルでは、ワゴン車に乗って全国を巡る番組「競馬ワンダラー」の案内役として出演している。著書に「廃競馬場巡礼」。
    浅野 靖典

    プロフィール/あさの やすのり
     グリーンチャンネル・中央競馬中継のキャスター就任を機に、一般企業のサラリーマンから競馬の世界に参入。以来、中央・地方・海外の競馬場のみならず、馬産地にも足繁く訪問。現在は各種媒体への寄稿を中心に、JRAブリーズアップセールなど各地のセリ市の進行役も担当。グリーンチャンネルでは、ワゴン車に乗って全国を巡る番組「競馬ワンダラー」の案内役として出演している。著書に「廃競馬場巡礼」。



 ぼくが競馬マスコミで仕事するようになったのが10年前。そのときは競馬場やウインズに通う全くの競馬ファンだった。そんな1人の“シロウト”が、その年の秋に馬産地に行ってみようと思い立ったのである。
 今でこそ馬産地に知り合いも多く、気軽に連絡して気軽に顔を出してということもできるが、当時はみんな知らない人という状態。だから千歳空港でレンタカーを借りたあとは、ノーザンホースパークに入場してソフトクリームを食い、翌日の昼食は某所のどさんこラーメン(廃業)という、今の自分には考えられない行程だったのだ。
 
 でもよく考えてみると、いわゆる普通の馬産地紀行というのはそんなものかもしれない。以前、静内のふるさと案内所で調べ物をしていたら、家族旅行とおぼしき人がやってきて、どこか見学できる牧場はないですかと係員に質問していた。ときは5月。普通の牧場は見学お断りの期間だ。そんなやりとりを横で聞いていたので、
「○○牧場だったら中に入って見学しても大丈夫ですよ」
と教えてあげた。もちろん注意事項や迷惑にならない見学場所もあわせて。少しでもいい思い出といい印象を持ち帰ってもらうことは、競馬のためにも重要なことだと思うのだ。

 ある夏の日にはこんなこともあった。
 「見学できる牧場について教えてください」
 その人は、なんとタクシー利用らしい。北海道でタクシーを使って牧場めぐりなんて、いったいいくらかかるのだろう。ホント、その人を自分のレンタカーで案内してあげたくなりましたね。
牧場はその家の生活と一体になっているから、諸手をあげて大歓迎とは言いにくい面もある。現状を見渡してみると、「牧場にいる馬を見に行こう!」と思い立って北海道に来ても、入念に下調べをして行動計画を練っていなければ、満足できる旅にはなりにくいのかもしれない。
 
 「そこまでは……」と感じられる方に、“牧場”を感じられる個人的オススメ見学ポイントを紹介しよう。まずはビッグレッドファーム(明和)。事前予約の必要もなく、気軽に名馬と対面できる。気軽にといっても、友達気分ではなく、他人の敷地内であることは忘れずに。ライディングヒルズ静内も、静かな環境のなかでゆったりと過ごす馬たちを見ることができる。タイミングが合えば子供たちの乗馬風景も見られるかも。また、馬の活動時間は午前中が中心。朝食抜きにして車を走らせれば、トレーニングに励む人馬が車窓から見られることだろう。そして夕陽ポイントとしてのオススメがレコードの湯。露天風呂からは放牧場とともに太平洋が一望できる。

 車の免許がなくて……という方は、日高本線に乗りましょう。次々に現れる牧場の看板で、「ああ、ここが○○のうまれた牧場か……」という感慨にふけることができるでしょう。また、門別種馬場は日高門別駅から徒歩15分くらいなので(上り坂ですが)、列車を一本落として、ぜひ。
 見学要項にはむずかしいことが書いてあるけれど、牧場の人々はみんな親切。きちんと挨拶して、見学させてほしいことをハッキリ伝えれば、気さくに接してくれますよ! 自宅に戻ったらお礼状を書くのも忘れずに!