バンブーエールを訪ねて~イーストスタッド
「本当に、頭が下がる馬です」と事務局を務める(株)ジャパンレースホースエージェンシーの担当者が敬意を表するのがバンブーエール。その放牧地へと向かう途中で「決して派手ではないかもしれませんが、生産者からも、馬主からも、根強い人気をいただいている馬です」と、紹介してくれた。
昨年(2025年)は、22歳、種牡馬生活14回目のシーズンでキャリアハイとなる55頭の繁殖牝馬に配合を行った。その原動力となったのは南関東で2023年5月のデビューから、2025年2月の品川オープンまで、破竹の8連勝を記録したダテノショウグンなのだろうが、それ以前からバンブーエールは不思議な魅力を振りまいてきた。
現役時代は25戦10勝2着4回3着2回。ジャパンDダービー(G1)2着、ダービーGP(G1)2着と長い距離にも対応してきたが、距離短縮が功を奏して5歳秋のJBCスプリント(Jpn1)で重賞初勝利。2歳年下で白山大賞典(Jpn3)を勝って意気上がるスマートファルコン、3歳年上でG1/Jpn1最多勝記録(当時)をかけて挑んだブルーコンコルドらを相手に堂々逃げ切り勝ち。さらに、遠征したドバイのドバイゴールデンシャヒーン(G1)でも4着と健闘するなど、世界を相手に堂々と渡り合った。
その後、6歳まで現役を続け3つのダートグレード勝利を手土産に生まれ故郷からほど近いイーストスタッドで種牡馬となったものの、当初は繁殖牝馬集めに苦労した。
その空気が一変したのは2018年の北海道市場トレーニングセール。4世代目産駒「ブラックカシミール2016」ことオリオンパッチは、前年秋のオータムセールにおいて702万円(税込、以下同)で取引された馬だが、セール前日に行われた公開調教において21秒86~10秒74という抜群の動きを見せ、外国人バイヤーによって4,860万円の値が付けられた。オリオンパッチは、結果的にはJRAで3勝を記録し、その馬代金以上の賞金を稼ぎだしている。これがきっかけとなった種付頭数がじわじわと増加。種牡馬デビューから6年間で延べ53頭だった種牡馬が、そこから9年連続で2桁の繁殖牝馬に恵まれている。
そして、2019年にはバンブー牧場生産スーパージンガが、牝馬ながらに佐賀三冠競走に優勝。その年の暮れに行われた九州大賞典では3歳年上のJRA重賞勝馬に食い下がって2着。また、コロナ禍の無観客競馬で行われた2021年のジャパンDダービー(Jpn1)では船橋競馬所属のキャッスルトップが、13頭立て12番人気の低評価を覆す走りを見せて優勝。史上5頭目となる地方競馬所属馬によるジャパンDダービー(Jpn1)優勝を成し遂げている。
「今年(2026年)は、昨年よりも種付頭数(28頭)が少なかったからかもしれませんが、去年よりも元気で、受胎率も上々でした」とスタリオン場長が胸を張るも、その一方で「基本的には扱い易い馬ですが、年齢を重ねて、少しずる賢くなってきたかもしれません」と苦笑い。
例えば朝。放牧したあとに早めに馬房へと戻そうとすると「もう少し放牧地を楽しみたい」と逃げるようになったという。その一方で、昼休みを終えたくらいの時間にスタッフが集まってくると「もう、馬房に帰りたい」と言わんばかりに、放牧地の出入り口の前でじっと動かないらしい。そんなところも可愛げがあると人気者だ。
「来年は24歳になりますが、正式にオーナーサイドから種牡馬の現役続行が決まりました」と嬉しい報告も。
JBCスプリント(Jpn1)が行われる11月3日当日はイーストスタッドを離れて、生まれ故郷に戻っているというが、年が明ければまたイーストスタッドに戻ってくる予定だという。
「(バンブーエールとは)長い付き合いになるので、心配はしていませんが、年齢が年齢ですから、体調管理はしっかりと心がけたい。1年でも長く種牡馬生活を続けられるようにスタッフ一同、全力でサポートしていきたい」と約束してくれた。















