馬産地コラム

ポタジェを訪ねて~イーストスタッド

  • 2026年10月07日
  • 鋭い眼光で怪しい侵入者をジロリ
    鋭い眼光で怪しい侵入者をジロリ
  • 隣の放牧地にいるエイシンヒカリとは適度な距離感で過ごしているという
    隣の放牧地にいるエイシンヒカリとは適度な距離感で過ごしているという
  • やや深みのかかった鹿毛の馬体は父譲り
    やや深みのかかった鹿毛の馬体は父譲り
  • 良血、好馬体に期待する声も高い
    良血、好馬体に期待する声も高い
  • 今年は13頭の繁殖牝馬に配合した
    今年は13頭の繁殖牝馬に配合した

 いわゆる天才型ランナーではなく、恵まれた天賦の才が努力を積み重ねることで花開かせた秀才型ランナー。それがポタジェという馬だ。

 ディープインパクトの10世代目産駒にして、米国の古牝馬チャンピオン決定戦でもあるBCディスタフ(G1)勝馬ジンジャーパンチの第7仔。半姉には牡馬相手に4つの重賞タイトルを獲得したほかオークス(G1)2着のルージュバックがいる血統馬。しかし、デビューしたばかりの頃はまだ心身ともに若さを残し、勝ち切れないレースを続けた。3歳春のプリンシパルSはクビ差2着で日本ダービー(G1)を断念することとなったが、7月の生田特別から翌年1月の白富士Sまで4連勝でオープン入り。重賞初挑戦となった金鯱賞(G2)は3着と敗れたが、新潟大賞典(G3)2着、毎日王冠(G2)3着と好走を続け、キャリア15戦目、2度目のG1挑戦に選ばれたのが2022年の大阪杯(G1)だった。

 このレースでは、圧倒的な人気を集めたエフフォーリアが伸び悩む中、逃げ込みを図るジャックドールを交わしたレイパパレに襲い掛かったのは吉田隼人騎手が手綱を取ったポタジェ。追い込むアリーヴォの追撃をクビ+ハナ差抑え込んでディープインパクト産駒としては56頭となる国内外の平地G1/Jpn1タイトルに輝いている。

 しかし、以降は持ち前の堅実さも影を潜め、存在感を失っていく。宝塚記念(G1)は気温の上昇に体力を奪われ、毎日王冠(G2)は58kgを背負ってのレコード決着の前に持ち味を活かせず、天皇賞(秋)(G1)も後方のまま。連覇を狙った大阪杯(G1)のあと、放牧先で骨折が判明。1度は復帰したものの今度は脚部不安を発症し、結果的には1年10か月もの休養を余儀なくされ、8歳春は川崎記念(Jpn1)からかしわ記念(Jpn1)というローテーションが組まれたが、かしわ記念(Jpn1)の4角手前で競走を中止。

 5月21日に競走馬登録が抹消され、治療に専念。2026年シーズンから、浦河町のイーストスタッドで種牡馬となっている。

 「こちらに入厩してきたのは1月19日です。心配していたケガの影響はまったくなかったですが、種牡馬展示会まであまり時間がなかったので少し焦りました」と同スタッドの佐古田マネージャー。2月4日に行われた展示会では、集まった約300人の生産者、馬主、生産関係者らを前に磨き上げられた自慢の好馬体を披露した。

 「基本的には扱い易い馬ですが、サンデーサイレンス系ディープインパクト直仔らしい激しい部分を持っている馬です。種付けに関しても、とても前向き。試験種付の時から牝馬に対して向かっていく勢いは凄いものがありました」と話す佐古田マネージャー。「ポタジェってフランス語で家庭菜園という意味らしいのですが、その名前とは対極にあるような男性的な性格です。だからこそ、何度も接戦をモノにできたのでしょうし、それは種牡馬としても心強い」と期待を口にし、事務局の(株)ジャパンレースホースエージェンシーも「引退、そして種牡馬入りのタイミングはベストではなかったとはいえ、強いメンバーが揃った大阪杯(G1)の勝馬で、非の打ちどころがない血統。ディープインパクト晩年の傑作として、種牡馬としては魅力的な1頭だと思います」と、その魅力を語る。

 一方、放牧地では「塩対応」。理解しているのかしていないのかは馬に聞いてみないと分からないが、カメラマンに向けて尻を向ける事が多く。取材者を困らせている。「パーソナルスペースを持っているのです。不用意には近づいてこないですし、近くに入るのも嫌がるような気がします」。そんなところもまた、ポタジェらしいところだ。

 「雰囲気がディープインパクトに似ているという生産者の方がいらっしゃいました。今年は準備期間が足りなかったこともあって繁殖牝馬には恵まれませんでしたが、巻き返したい」と言葉に力を込めてくれた。