ファインニードルを訪ねて~ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス
2023年に日本国内で産声をあげたサラブレッド7,795頭の中で、最初にJRA重賞勝馬となったのはダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで種牡馬生活を送るファインニードル産駒のエイシンディードでした。浦河町の山田昇史牧場で生まれ、ホッカイドウ競馬の村上正和厩舎からデビューしたこの馬は、2戦目に勝ち上がるとJRAの大久保龍志厩舎へと移籍。その初戦で大仕事をやってのけました。
そして、この勝利によって、種牡馬ファインニードルは2025年現在、初年度産駒で5歳のエイシンフェンサー(2025年シルクロードS (G3))から始まり2世代目産駒カルチャーデイ(2023年ファンタジーS (G3))3世代目産駒のアブキールベイ(2025年葵S (G3))に続いて、4世代連続でJRA重賞勝馬の父となりました。
そんなファインニードルの現況をダーレー・ジャパン(株)の加治屋正太郎ノミネーションマネージャーは「素晴らしいスピード能力を伝えてくれているのですが、その実績に比べて評価が低い。残念ながら時代のサポートを得られていない」と悔しそうに表現してくれました。
近年はダート三冠競走が創設されるなど、ダート競馬にスポットライトが当たる時代。市場などでもダート血統に対する需要が高くなり、ダート血統が重宝されるようになりました。それは、素晴らしいことなのですが、その一方で芝の短距離血統は苦戦する傾向にあります。「ファインニードルはアドマイヤムーンに比べると高いダート適性を感じますが、やはり現役時代のイメージが強いのだと思います」と残念そうです。
ファインニードルは2018年のJRA賞最優秀短距離馬です。3歳秋のデビュー戦から、ほぼ終始一貫スプリント路線を歩み、4歳秋のセントウルS(G2)で重賞初勝利。どんな位置からでも競馬が出来るレースセンスの高さと強烈な瞬発力を武器に活躍。高松宮記念(G1)では早めに抜け出したレッツゴードンキを力でねじ伏せ、スプリンターズS(G1)は坂下で先頭に立ったラブカンプーの野望を外から自慢の末脚で切り捨て、史上5頭目となる春秋スプリントG1制覇を成し遂げました。
現役引退後、2019年から種牡馬入りすると、初年度から2年続けて100頭を超える繁殖牝馬に配合する人気種牡馬になりました。途中、次々とスタッドインを果たす外国産人気種牡馬の陰に隠れるように種付頭数を減らした時期もありましたが、今年は産駒たちの活躍で79頭。見事なV字回復を果たしています。
「アドマイヤムーンとよく似た美しいボディラインを持っており、しなやかで伸びがあり、動きには柔らかさがあります。産駒もアドマイヤムーンから受け継いだファインニードルのラインを持つものが多いようなイメージがあります」と加治屋正太郎ノミネーションマネージャー。「まだ12歳と老け込む年齢ではありません。高額種牡馬に比べれば、質、量ともに恵まれた種牡馬生活とは言えませんが、それでもこうして結果を出してくれるのですから、種牡馬としてのポテンシャルは相当に高いと思っています。ぜひ配合をご検討ください」と、多くの生産者、馬主に向けて呼びかけています。















