グローリーヴェイズを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
2019年のJPNサラブレッドランキングで、日本調教馬の牡馬としては最高となる125のレーティングを獲得したのがグローリーヴェイズ。香港ヴァーズ(G1)の圧勝が勝利され、この年は天皇賞(秋)(G1)を勝ったアーモンドアイや、ジャパンカップ(G1)優勝スワーヴリチャードなどよりも高い評価を得ている。そんなグローリーヴェイズも明けて10歳。かつて、天皇賞(春)(G1)でマッチレースを演じたフィエールマン、京都大賞典(G2)で雌雄を決したキセキらとともに日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬生活を送っている。
「母のメジロツボネは、同スタリオンステーションで長く種牡馬生活を送ったスウェプトオーヴァーボード産駒。420kg台でデビューした小柄な馬でしたが、芝の短い距離で4勝。レースに出走するときには、スタッフみんなで応援しましたし、5歳時には函館競馬場のメイン競走にも勝ってくれました。あの馬の仔を、こうして種牡馬として迎え入れられたことは感無量。スタリオンスタッフとして、こんなに嬉しいことはありません」というのは村尾隆平主任。四半世紀を超えるキャリアを持つ、ベテランスタッフだ。
「競馬場で無理使いをされてこなかった馬だけに、基本的に健康な馬です。気性も種牡馬としては穏やかで扱い易く、その一方で、種付けに対する意欲は祖父サンデーサイレンスを彷彿させるものがあって、生産者の方々にも好評をいただいております。私は、この馬を直接担当しているわけではないのですが、国際的にも評価が高く、大きな期待を背負っている馬。3年目となる今年も万全の体調でシーズンを迎えられそうです」と安堵の表情となった。
与えられている放牧地は、同スタリオンステーションの一番奥。隣には新種牡馬のプロミストウォリアがいて、向かいの放牧地にはコパノリッキーが。斜め向かいにはフォーウィールドライブがいて、どちらかといえばあまり他の馬の動向に影響されないタイプの馬が並べられている。それぞれが、マイペースで自分の時間を過ごしている。
そういえば現役時代の同馬を管理していた尾関知人調教師は「海外でもしっかりと結果を出してくれた精神面、気性面は大きなセールスポイントになるのではないか」と期待を寄せ「430kg台でデビューし、競馬を使いながら460kg台まで大きくなった。この成長力も大きな武器になると思います」とコメントしている。そうしたエールを受けた同スタリオンステーションでは坂本場長以下、村尾隆平主任、担当の松下さんなど8人のスタリオンスタッフが同馬を盛り上げる。
「これまでたくさんのディープインパクト産駒の種牡馬を扱ってきましたが、いわゆるディープインパクトのサイズで、放牧地では軽い脚さばきを見せてくれます。加えて、仕事に対する姿勢は祖父ゆずり。三冠牝馬メジロラモーヌの血をつなげるためにも良い仔を出して欲しいですし、生産者のレイクヴィラファームの方々は来場いただくたびに、この馬の事を気にかけてくださいます。そうした気持ちにも応えて欲しい」と産駒の活躍を願っている。
グローリーヴェイズ自身は、きさらぎ賞(G3)2着など、早い時期から水準以上の能力を示しながらも春のクラシックは不出走。古馬になってからは得意とする京都競馬場が改修工事に入って使えなくなるという不運にも見舞われた。それらを払拭するような活躍を期待したい。