馬産地コラム

ロジユニヴァースを訪ねて~ヴェルサイユリゾートファーム

  • 2024年05月31日
  • 世代7768頭の頂点になった馬らしく孤高の雰囲気を漂わせていた
    世代7768頭の頂点になった馬らしく孤高の雰囲気を漂わせていた
  • 普段はおとなしく、扱い易い馬だという
    普段はおとなしく、扱い易い馬だという
  • ネームプレート入りの頭絡は種牡馬の証でもある
    ネームプレート入りの頭絡は種牡馬の証でもある
  • あっと言わせたダービーのように大物産駒の登場が待たれる
    あっと言わせたダービーのように大物産駒の登場が待たれる
  • 18歳とはいえ馬体はまだまだ若々しい
    18歳とはいえ馬体はまだまだ若々しい

 今でも語り草になっているのが第76回東京優駿(日本ダービー)(Jpn1)。史上稀にみる不良馬場となった雨中の頂上決戦を4馬身差で制したのがロジユニヴァースだった。40年ぶり、8回目の不良馬場ダービーとなったこの日、マイナス10kgの馬体重で大敗を喫した皐月賞(Jpn1)から16kg体重を増やして大一番に挑んだ同馬は、横山典弘騎手を背に1枠1番からスタート。大逃げを打つジョーカプチーノがハイペースで飛ばす中、離れた2番手を進むリーチザクラウンをマークするような位置でレースを進め、最後の直線ではわずかに空いた内ラチ沿いをこじ開けるように力強く伸びて世代の頂点に立った。

 横山騎手はデビュー24年目、15回目の挑戦で日本ダービー(Jpn1)初勝利。萩原調教師にとっては3度目の挑戦で初の日本ダービー(Jpn1)タイトル獲得となった。

 また、2003年に日本ダービー(G1)を制した父ネオユニヴァースとの父仔日本ダービー(G1)制覇は史上6組目という快挙にもなり、この年JRA賞最優秀3歳牡馬のタイトルも手中にしている。

 しかし、その後は慢性的な脚部不安に悩まされ、2012年、6歳夏の札幌記念(G2)で約2年ぶりの復帰を果たしたものの大敗。再起を図るもかなわずに2013年10月30日付けで競走馬登録を抹消。通算10戦5勝2着1回で引退したロジユニヴァースは、2014年から新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬生活をスタートさせ、10年間同スタリオンステーションで供用されたのち、2024年から日高町のヴェルサイユリゾートファームで11年目の種付シーズンを迎えている。

 サンデーサイレンス系種牡馬による激しい主導権争い真っ只中での種牡馬生活は、決して恵まれたものではなかったかもしれないが、それでも2年目産駒のロジペルレストはJRAでオープンクラスにまで上り詰め、7世代目産駒ミトノユニヴァースによって、昨年のネクストスター名古屋で産駒による重賞初制覇も記録している。同馬は、その後ライデンリーダー記念、新春ペガサスカップと重賞2連勝も達成するなど父の名前を挙げている。

 あの日本ダービー(Jpn1)からちょうど15回目の春。ヴェルサイユリゾートファームで同馬を管理する岩崎代表によれば「今年も現役時代のオーナー所有の繁殖牝馬をメインにマイペースの種牡馬生活を送っています」とのこと。

 「移動してくる前は、気難しいところがあると聞いていましたが、年齢的なこともあるのか、意外とそうでもなく普通におとなしく過ごしています」と現在の様子を教えてくれた。そんな様子はSNSなどで発信されているのでお楽しみいただきたい。

 隣の放牧地にはナランフレグがいて、並んでいるのはトウケイヘイロー。向かいの放牧地にはロジクライもいる。そんな仲間たちに囲まれて18歳となったロジユニヴァースは「たまに一緒に走ったりするシーンを見ますが、喧嘩を仕掛けたり、逆に仕掛けられたりすることなく過ごしています」という。

 種付けの予約が入らなければ春シーズンは朝6時頃から夕方までが放牧時間。そこで静かな時間を過ごしている。「これまで大きなケガや病気はなく、穏やかに過ごしていますが、まだ現役の種牡馬ですから、種付けに支障がないよう管理しています」と表情を引き締めた。人気馬を多く繋養する同ファームは今年もゴールデンウイークには2,500人を超えるファンが来場したというが「みなさんマナーをお守りいただいて、トラブルなく終えることができました。18歳となったロジユニヴァースも元気に過ごしていますので、機会があればぜひ足を運んで会いにきてください」と言うメッセージを預かった。