馬産地コラム

アルアインを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション

  • 2024年04月11日
  • 産駒のコスモキュランダに父系3世代連続皐月賞(G1)制覇の夢を託す
    産駒のコスモキュランダに父系3世代連続皐月賞(G1)制覇の夢を託す
  • 健康状態に不安はまったくないという
    健康状態に不安はまったくないという
  • 皐月賞(G1)で記録した1分57秒8はいまだに破られないレコードタイム
    皐月賞(G1)で記録した1分57秒8はいまだに破られないレコードタイム
  • 自分自身のパーソナルスペースを大切にしているという
    自分自身のパーソナルスペースを大切にしているという

 〝もっとも速い馬が勝つ〟と言われる皐月賞(G1)を、もっとも速いタイムで優勝したアルアインは現在、日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで5年目の種付シーズンを送っている。

 「近年はどんな種牡馬でも3年目シーズン、4年目シーズンは苦戦の傾向があるのですが、この馬はそこを無事に乗り切り、デビューした初年度産駒の中から重賞勝ち馬、クラシック候補を送り出してくれました。素晴らしいことだと思います」と胸を張るのは、同スタリオン・ステーションの坂本教文場長だ。

 その言葉どおりに、日本競馬史上9例目となる皐月賞(G1)父子制覇を成し遂げたアルアインは、初年度から4年連続で100頭超の繁殖牝馬が同馬の血を求め、ここまではコンスタントに産駒を残している。

 その初年度産駒の1頭コスモキュランダによる弥生賞(G2)制覇は、種付業務の休憩中にスタリオンスタッフみんなでテレビ観戦していたという。

 「もちろん、期待して見ていました。先頭でゴールを駆け抜けたときは、まるで産駒がG1競走に勝利したかのようにみんなで大喜びしました。種付シーズン最中でもあり、親孝行としては最高のタイミングでした」と相好を崩している。そして「産駒が2000mの重賞競走に勝ったということも、大きいと思っています。アルアイン自身が2000mのG1競走を2勝していることから、しっかりと自分の良いところを産駒に伝えてくれることも示した1戦だったと思います」と笑顔を広げた。

 そんなアルアインをひと言で言い表すなら、自分自身のパーソナルスペースをしっかりと持った馬だという。「どちらかというとマイペースに過ごすダノンスマッシュとキセキに挟まれている放牧地ではそうでもないのですが、とくに種付シーズン中は、馬房に戻ると、ほかの馬のことが気になるようです。もちろん、私たち人間には計り知れない馬同士の相性みたいなものもあると思いますが、厩舎の廊下を他の馬が通るだけで面白くないようです。自分が不機嫌だということを全力でアピールしてきます」と苦笑い。

 誤解がないように補足させてもらうと、集団で生活をするウマ族において種牡馬というのは群れの長。程度の差はあるものの、どんな馬でも種付けを経験すれば自我が芽生え、自己アピールは強くなる。ただ、アルアインの場合はそれがほかの馬たちよりも少しだけ強いようだ。

 「人間に対して危険な行動を取ることはないのですが、馬同士ではキツい面を見せることがあります。それは群れのボスとしての自覚があるということですから決して悪いことではないのですが、とにかくパワーのある馬ですから、ケガをさせないように注意をしています。初年度産駒は、新馬戦で勝ち上がった馬も多かったですし、2世代目以降も産駒数には恵まれていますので、必ずやコスモキュランダに続くような馬が出てきてくれると信じています。皐月賞(G1)当日は仕事場を離れることはできないと思いますが、弥生賞(G2)のときのようにアルアインと一緒に精一杯応援したいと思います」と日本競馬史上初となる父仔3世代連続皐月賞(G1)制覇へ夢を広げている。