リアルスティールを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
2007年のアドマイヤムーン、14年のジャスタウェイに続き、日本競馬史上3頭目となる日本産、日本調教馬によるドバイターフ(G1)制覇を成し遂げたリアルスティールは現在、日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで、自身にとって6シーズン目となる種牡馬生活を送っている。
「(ブリーダーズ・スタリオン・ステーション繋養ブラックタイド産駒の)キタサンブラックと同期の馬ですからね。皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)では先着されていますが、スプリングS(G2)と菊花賞(G1)は勝たせてもらいました。当時は、ドゥラメンテとともにやっかいなライバルだなぁと思っていた馬を自分たちで扱っていることはすごく名誉なことであり、不思議な縁を感じますね」と、9年前の出来事を懐かしそうに話してくれたのは坂本教文場長だ。
「社台スタリオンステーションから移動してきたのは昨年(2023年)11月29日です。初年度産駒からオールパルフェ、レーベンスティールが出て、2年目産駒からはフォーエバーヤングが。フォーエバーヤングはJBC2歳優駿(Jpn3)ですごく強い勝ち方をしたと思ったら、全日本2歳優駿(Jpn1)を楽勝して、サウジダービー(G3)まで勝ってしまった。おかげで、今年はすごいペースで種付けをこなしてます」と胸を張っている。
3代母は全欧古牝馬チャンピオンで2年連続米芝牝馬チャンピオンのミエスク。繁殖牝馬としてもキングマンボなどの母として一大ファミリーを築き上げている。また、全妹ラヴズオンリーユーは不敗のままオークス(G1)に勝利したかと思えば香港のG1競走を2勝、そして米国のブリーダーズカップフィリー&メアターフ(G1)まで勝ってしまった。
そんな血統背景を持つためでもないだろうが「なんでも1番でなければ気がすまない」という〝ジャイアン〟系。放牧に出すときも、厩舎に戻るときも、そして種付けの順番も。とにかく自分よりも先に馬がいると不機嫌になるという。それは厩舎にいるときも同じで、前を馬が通ることが面白くないらしい。そのため、本厩舎から少し離れた静かな馬房が与えられている。
「種付けは上手で、時間もかかりません。社台スタリオンステーションにいたときも、受胎率は屈指の存在だったそうで、そういう意味では楽な馬ですね。ただ、油断をすると人間に対してちょっかい出してくることがあるので、気の抜けない馬なんです」と苦笑い。そういった時の動きは俊敏で、運動神経の良さが垣間見えるというし、放牧地でも「理由は良くわからないのですが、突然走り出したり、動き回ったりしています」という。どうやら、確実に言えることは体を動かすことは好きだということだ。
「まだ2世代の産駒をデビューさせたばかりですが、芝でも、ダートでもトップクラスの馬を出しているせいで、芝狙いの配合をする方もいれば、ダート狙いの配合をする方もいらっしゃいます。これから、どんな産駒が生まれてくるのか、どれほど活躍してくれるのか、楽しみしかありません」と目を輝かせている。