ローズキングダムを訪ねて~ヴェルサイユリゾートファーム
2歳10月の新馬戦でヴィクトワールピサとの一騎打ちを制し、不敗のまま朝日杯フューチュリティS(Jpn1)に勝って同年の最優秀2歳牡馬に。3歳三冠路線は4着、2着、2着と善戦の域を出なかったが、菊花賞(G1)から中3週で挑んだジャパンカップ(G1)では2位入線繰り上り1着。もう間もなく半世紀の歴史を数える同レース史上初の、そして唯一の繰り上げ優勝として名前を残している。
現役引退後は日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬となるもケガのため、わずか5年で種牡馬生活にピリオドを打って、ヴェルサイユリゾートファームでの新生活をスタートさせた。
「歩様を見ていただければわかると思いますが、心配いただいているケガの影響は、もうほとんどありません。体調も良く、放牧地を元気に歩き回っていますよ」と紹介してくれたのは同ファームの白井健一さんだ。「ヴェルサイユリゾートファームで引き取り、サードキャリアをスタートさせた最初の馬ですから、やはり強い思い入れはあります」と言う。
そんなローズキングダムも現在17歳。ここヴェルサイユリゾートファームでの生活も6年目を迎えようとしている。
「良い意味で変わりはありません。相変わらず、放牧に出すときは嬉しそうだけど、集牧の際は嫌がることもある」というアウトドア派。その反面、馬房の中では「じっとしていることが多く、きれい好き。飼い葉を食べるとき、水を飲むときはあまりこぼさずにきれいに食べる」という。
そんなローズキングダムを「決して媚を売るタイプではないのですが、たくさんのファンに愛されている馬」だと表現してくれた。
ただ「良い意味でも悪い意味でもプライドの高い“おぼっちゃま”。私たちスタッフに対しては強い態度に出ることがあります」というのは少々意外な言葉だった。聞けば「痛みに弱いタイプ」。以前、脚元を怪我したときの消毒液がよほど嫌だったのか、そのときはなかなか脚を触らせてくれずにスタッフを困らせたそうだ。
「皮膚が薄いので、敏感なのだと思います。硬いブラシは嫌がりますし、馬房の前をほかの馬が通る時などはピリっとするなど、そういう自己アピールはしっかりとする馬です」という。
「大きなけがを経験し、立ち直ってくれた馬ですから、これからは元気に過ごして欲しい。17歳は、ここではまだ若手です。幸い、食欲もありますし、水もたくさん飲んでくれる。まだまだ元気は姿を見ていただけると思います」とエールが送られている。