馬産地コラム

スノードラゴンを訪ねて~レックススタッド

  • 2022年10月19日
  • 父子2代連続の最優秀短距離馬
    父子2代連続の最優秀短距離馬
  • 今年は13頭に種付けを行った
    今年は13頭に種付けを行った
  • 担当者に引かれて放牧地へ
    担当者に引かれて放牧地へ
  • 「寝転ぶのが大好き」と言うから貴重なワンショット
    「寝転ぶのが大好き」と言うから貴重なワンショット
  • 放牧地ではマイペースに過ごしている
    放牧地ではマイペースに過ごしている

 ダートグレード競走も含め、国内外の重賞競走に挑戦すること35回。唯一の重賞勝利がスプリンターズS(G1)。それどころか、その勝利はスノードラゴンにとって、芝コースにおける唯一の勝利記録にもなっている。

 稀代の個性派スプリンター。2014年のJRA賞最優秀短距離馬スノードラゴンは2019年の高松宮記念(G1)17着を最後に新ひだか町レックススタッドで種牡馬となり、4年目のシーズンを終えた。

 「最後のレースを終えて、スタッドインを果たしたのが3月31日でした。検査や登録などがあり、最初の種付けが5月に入ってから。正直、出遅れは否めませんでしたし、初年度の血統登録数も10頭と決して多くはないので、6月17日に産駒が笠松競馬で初勝利を挙げてくれたときは、ほっとしましたね」と事務局。同競馬場の2歳新馬戦に1番人気で出走したツミキヒトツはスタートダッシュこそやや鈍かったものの二の脚をきかせてハナに立ち、そのまま押し切り勝ち。800m50秒5(稍重)のタイムで父に嬉しい初勝利を報告し、その後も勝ちきれないまでも入着を重ねて馬主孝行ぶりを発揮している。

 「スノードラゴン自身、初勝利が2歳12月で、本格化も古馬になってから。レースを使いながらの成長力は備えていると思いますし、2023年にデビュー予定の2年目産駒は16頭おります。楽しみです」と期待している。

 長く競走馬生活を続けていただけに初年度産駒がデビューを果たした今年で14歳。現役時代から白かった馬体は、さらに白さを増してまるで人形のようでもある。

 普段の様子を尋ねると「マイペースと言うか、自分を持っている馬です」とスタリオンスタッフ。

 とにかく食欲が旺盛で「午前6時から午後1時までの放牧時間のほとんどは草を噛んでいる」そうで、撮影したカメラマンからも「放牧地の中を移動する際も、ほとんど顔をあげてくれません」と悲鳴のような声が聞こえてくる。加えて「寝転がるのが大好き。(今回お届けできる)泥ひとつ付いていない真っ白な馬体の写真は、貴重なものかもしれません」という裏話も。

 周囲をタニノフランケル、エピカリス、そしてエイシンフラッシュの3頭に囲まれているが、1歳年上のダービー馬エイシンフラッシュは派手に動き回るタイプではなく、エピカリスは反対側のブルドッグボスに興味津々。若いタニノフランケルにけしかけられても、ほぼ無関心。それどころか、近寄る人間に対してもあまり興味はなさそうだ。

 無駄なことには一切力を使わず、ここぞという時には考えられないようなパワーを発揮してきたスノードラゴン。種牡馬としても、目標は「親子3世代連続のJRA賞」だ。