馬産地コラム

スティッフェリオを訪ねて~早来エクワインファーム

  • 2022年09月27日
  • 洗い場につながれてきれいにおめかし
    洗い場につながれてきれいにおめかし
  • スタッフの笑顔も印象的
    スタッフの笑顔も印象的
  • 新千歳空港からは約20分の距離にある
    新千歳空港からは約20分の距離にある
  • 澄んだ瞳が印象的
    澄んだ瞳が印象的
  • 馬の一生を考えればまだ折り返し前。新天地にて
    馬の一生を考えればまだ折り返し前。新天地にて
  • 馬房の扉には獲得したリボンが飾られていた
    馬房の扉には獲得したリボンが飾られていた
  • 放牧地ではないが馬にとってのリラックススペース
    放牧地ではないが馬にとってのリラックススペース
  • 練習中のスティッフェリオ
    練習中のスティッフェリオ

 軽快な逃げ、先行力を武器に福島記念(G3)や小倉大賞典(G3)、そしてオールカマー(G2)に勝ち、天皇賞(春)(G1)で11番人気ながらもフィエールマンをハナ差まで追い詰めたスティッフェリオは現在、北海道安平町の早来エクワインファームで乗馬として第2の馬生をスタートさせている。すでに馬場馬術競技で優勝を経験しているほか、障害馬術競技でも2位となるなど期待の1頭だ。

 ここ早来エクワインファームは、北の玄関口「新千歳空港」から車で約20分。札幌市出身で、これまで数々の国体・全日本学生大会で入賞を重ねているほか、オーストラリアで研修経験もある全国乗馬倶楽部振興協会公認インストラクターの梁川正重さんが代表を務める乗馬クラブだ。

 乗馬クラブといっても、クラブ会員やビジターで訪れる人を対象にライディングテクニックを教えるだけではなく、引退競走馬や引退繁殖馬等が乗用馬として第2、第3のライフステージを送れるようなリトレーニングも行っている。

 スティッフェリオもそうした1頭で、一昨年の宝塚記念(G1)11着のあと左前脚に屈腱炎を発症。現役生活からの引退を余儀なくされたことでエクワインファームの扉を叩いている。

 「ケガをしての引退でしたので、移動直後は削蹄も含め足元のケアをしていましたが、今ではすっかり回復し競技会にも出場しています」と梁川代表。

 その後、同ファームによって乗用馬としての基礎を教えられた同馬はメキメキと上達。2021年7月に苫小牧市のノーザンホースパークで行われた北海道地区夏季馬術大会(主催・北海層乗馬連盟)「馬場馬術競技A2課目」に優勝した同馬は、同年10月に同じノーザンホースパークで、引退競走馬のみを対象にして行われている引退競走馬杯(主催・全国乗馬倶楽部振興協会)にも出場し、90センチメートルの障害飛越協議で減点ゼロの第3位と入賞も果たしている。あれから1年。今では110センチ障害も難なくクリアできるほどに上達しており、9月下旬は引退競走馬杯の秋田大会に出場予定。その後、10月第1週にノーザンホースパークで行われる同大会にもエントリーしている。

 「競馬であれだけの成績を残した馬ですから走っている時のバランスがとても良い馬です。加えて、この馬は賢く、理解力が高いので常用馬としても有望な1頭だと思っています」と代表も目を細める1頭だ。「馬にとって初めて訪れる競技会の会場はどうしても緊張してしまう場所なのですが、スティッフェリオは輸送にも慣れていますし、人間の指示にもしっかりと応えてくれる馬。乗用馬としてはまだまだ若い馬なので、将来が楽しみです」と話し「競技馬に限ったことではないのですが、1番大切にしたいのは馬の体調管理だと思っています。これからも馬にとって心身ともにベストな状態で大会に臨めるようにしっかりと向き合っていきたい」と話してくれた。