トウケイヘイローを訪ねて~アロースタッド
2013年夏。札幌競馬場はスタンド改修工事のため全休。その代わりに6月15日の開幕から9月1日までの夏の北海道シリーズを一手に引き受けたのが函館競馬場だった。4開催24日間にも及ぶ、その中で堂々主役を務めたのがトウケイヘイローだった。
「函館記念(G3)」はトップハンデを背負いながらも、ダービー卿CT(G3)、鳴尾記念(G3)と重賞2勝馬の貫録を見せつけるかのように堂々と逃げ切り勝ち。そこから中4週で行われた別定重量戦の「札幌記念(G2)」は不良馬場も味方につけて6馬身差の逃げ切り勝ち。昨年までの過去10年間で、トップハンデを背負って函館記念(G3)を制したのはトウケイヘイローただ1頭で、札幌記念(G2)で2着馬に6馬差というのは、ダートのハンデ戦だった時代以来のことで、強豪集う最高峰G2競走と位置付けられてからは最大着差だ。
この勝利によってトウケイヘイローは同年のサマー2000シリーズのチャンピオンとして、その名を刻んでいる。そして、暮れの香港カップ(G1)2着のあとはアラブ首長国連邦のドバイデューティフリー(G1)(現在のドバイターフ(G1))やシンガポールのシンガポール航空国際C(G1)など海外G1を転戦。6歳秋のシリウスS(G3)を最後に引退。
2016年から新ひだか町アロースタッドで種牡馬生活を送っており、7年目のシーズンを終えた現在は二十間道路沿いの放牧地で、のんびりと過ごしている。
「周囲に馬が少ないということもあるのだと思いますが、種牡馬としてはおとなしい馬だと思います。近くを車が通っても慣れたもので気にする様子はありませんし、あまり動じないタイプのようですね」とは事務局(株)ジェイエスのスタッフ。ただし、見慣れぬ侵入者には敏感の様子で、カメラマンが近づくと鋭く反応したりもする。
「G1タイトルを持たずにオーナーの個人所有という形での種牡馬入りでしたから、産駒数は決して多くはありませんが、デビューした仔どもたちが活躍してくれているので一定数の種付けを行っています」とのこと。
2019年初年度産駒トウケイタンホイザは、トウケイヘイロー産駒としてJRAでの産駒初出走となった芝1800mの新馬戦を快勝。また、同じく初年度産駒トウケイミラは2勝クラスの瀬戸内海特別含み3勝を挙げて、準オープン級でも入着を果たしている。
また、地方競馬からデビューしたシントーオマツ、トウケイメニモミヨ、トウケイラオフェン、トウケイワルツの4頭すべてが勝ち上がり、その合計勝利数は12勝。この数字はまだまだ伸ばしてくれそうだ。
「ファンの多い馬で、見学シーズンにはこの馬を訪ねてくる方も多いですし、産駒成績も少ない産駒数ながらも順調。1年でも長く種牡馬生活を続けてほしいと思いますし、私たちも全力でサポートします」と力強いエールが送られている。