馬産地コラム

マテラスカイを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション

  • 2022年07月08日
  • 日本レコードを2度マークしたスピードに生産者は注目している
    日本レコードを2度マークしたスピードに生産者は注目している
  • 初年度から100頭を超える繁殖牝馬に配合し、充実のシーズンを送っている
    初年度から100頭を超える繁殖牝馬に配合し、充実のシーズンを送っている
  • 食欲も旺盛で体調には不安がないという
    食欲も旺盛で体調には不安がないという
  • 美しい栗毛の馬体が新緑に生える
    美しい栗毛の馬体が新緑に生える
  • 与えられた放牧地はスタリオンのほぼ中央に位置している
    与えられた放牧地はスタリオンのほぼ中央に位置している

 近年、馬産地ではダート競馬に向く種牡馬の需要が高まっている。実際、2021年春の種付シーズンで最も多くの繁殖牝馬が向かったのはチャンピオンズカップ(G1)の優勝馬で最優秀ダートホースのルヴァンスレーヴのもとだった。ほか、同じく最優秀ダートホースのゴールドドリームも200頭を超える繁殖牝馬を迎え入れ、フェブラリーステークス(G1)をレコード勝ちしたモーニンも根強い人気を誇っている。

 「生産者が求める血」。種牡馬事務局(株)サラブレッド・ブリーダーズ・クラブでは、ダート短距離レースで日本レコードを2度マークしたマテラスカイのことをそう表現した。「サンデーサイレンスやキングカメハメハの血を持たず、得意とした条件下で見せた圧倒的なパフォーマンスは、進化と変化を遂げる日本の近代競馬にマッチするもの」と期待を膨らませている。

 500キロを超える雄大な馬体から繰り出すスピードを武器に2018年のプロキオンS(G3)では圧巻の逃げ切り勝ち。この時の勝ちタイム1分20秒3は従来の日本レコードを1秒2短縮するもので、2着以下には短距離レースでは大差に等しい4馬身差。その後は自身の持ち味を発揮できるレースを求め、日本国内のみならず、文字通りに世界を転戦してまわった。盛岡競馬場のクラスターC(Jpn3)でダート1200m1分8秒5の日本レコードを樹立したのは6歳時。ほか、アラブ首長国連邦、サウジアラビアのG1レースでも2着3回。ダート短距離の世界最高峰レースBCスプリント(G1)にも2度駒を進めるなど、そのスピードは世界の快足自慢たちにも一目置かれる存在だった。通算成績は36戦7勝2着9回(JRAでは22戦6勝2着4回)。現役を引退し、種牡馬入りが伝えられるとシンジケートは即満口。供用初年度となる2022年シーズンから100頭を超える繁殖牝馬に配合する人気種牡馬となっている。

 管理するブリーダーズ・スタリオン・ステーションでは「種牡馬となって供用初年度という事を考えれば、扱い易い馬です。まだ若い馬なので種付けに関して言えば一生懸命になりすぎる部分もありましたが、シーズン後半になれば自分が求められるものを理解してきたように思います」と信頼を寄せ「同じスパイツタウン産駒のモズスーパーフレアが高松宮記念(G1)を勝っているように、決してダート一辺倒の血統ではないと思いますし、この馬自身の体つきや柔らかい身のこなしなどから、幅広いカテゴリーでの活躍が見込めると思います」と期待に胸を膨らませ「この馬に期待してくださるオーナーや生産者、厩舎関係者はもちろんですが、応援してくれるファンの方々に恩返しできるように、この馬らしいスピードを彷彿させるような産駒を送り出してほしい」とエールが送られている。