ラブリーデイを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
2015年の「第56回宝塚記念(G1)」。レース前の主役は、前年、前々年の宝塚記念(G1)の覇者で、この年の阪神大賞典(G2)、そして天皇賞(春)(G1)を制して挑んできたゴールドシップだった。しかし、ゲートで立ち上がり大きく出遅れ。リズムを崩して伸び悩む同馬を尻目に先頭ゴールインを果たしたのは6番人気に甘んじていたラブリーデイだった。2着にも同じ勝負服で10番人気デニムアンドルビーが入って波乱のレースとなった。
この年のラブリーデイは「第152回天皇賞(秋)(G1)」など6つの重賞を制し、最優秀4歳以上牡馬のタイトルとともに、年間最高賞金獲得馬のタイトルを獲得。翌年の香港カップ(G1)4着を最後に、通算33戦9勝2着3回3着3回(海外2戦含む)で現役生活から退き、日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬となった。もう間もなく6年目のシーズンを終えようとしている。
「この馬自身が偉大な馬なので、まだその域に達するような馬には恵まれていませんが、これまでの産駒はラブリーデイ自身がそうだったようにジワジワと力を付けてくるようなタイプが多く、先々に楽しみが広がっています」とは繋養するブリーダーズ・スタリオン・ステーション。
「ラブリーデイ自身、きっかけをつかんだら一気に頂点へと上り詰めたように、産駒も何かのきっかけで動き出してくれないかなと思っています」と期待している。
そんな周囲の期待に応えるように2022年は、6月12日の新馬戦で3世代目産駒のオンザブロッサムが離れた2番手追走から最後の直線で内ラチ沿いを鋭く伸びて優勝。早々に「初年度から世代連続2歳新馬戦優勝」を「3」に伸ばすなど好ダッシュを見せている。
「やっぱり、産駒の活躍は嬉しいです。特に新馬戦は夢が広がりますからね」と白い歯を見せている。
そんなラブリーデイは「種牡馬としては大人しく、手がかからないタイプ」とのこと。場長以下、周囲のベテランスタッフに囲まれながら、競馬が大好きだという新人スタッフが懸命に世話をしている。
「種牡馬はいわば群れのボスで、威張るようなタイプが多いのですが、その中にあってラブリーデイは自分を持っているというか、マイペースタイプです。そういう意味では父キングカメハメハに似ている性格だと思います。この馬は周囲の馬をあまり気にかけるようなこともないですし、無駄なことはしないタイプ。放牧地でも厩舎でもよく寝ていますよ」とのこと。食欲も旺盛で、健康状態に不安はないとのこと。
「今年、見学を再開するかどうかはまだ未定なのですが、馬はとても元気なのでご安心ください。来年(2023年)は、ラブリーデイにとっての初年度産駒が、この馬自身がブレイクした5歳を迎えます。(ラブリーデイの)全弟ボッケリーニが重賞初勝利を記録したのが4歳12月で、6歳になった今年も重賞を勝ったように晩成型なのかもしれません。これまで素晴らしい馬には多く配合している馬ですし、1日も早く父の域に達するような産駒を期待したいですが、長い目で見てほしいですね」とエールが送られている。