ベストウォーリアを訪ねて~優駿スタリオンステーション
歴代優勝馬にはカフェファラオ、ワイドファラオにルヴァンスレーヴ、サンライズノヴァ、そしてゴールドドリーム。ユニコーンS(G3)は格付けこそG3競走だが、のちのG1/Jpn1勝ち馬がズラリと居並ぶ出世レースとして名高い存在だ。
2012年米国トレーニングセール出身のベストウォーリアが勝利した2013年も2着はファンタジーS(G3)の優勝馬でダート転向初戦を圧勝したサウンドリアーナ。3着はJRA最優秀ダート馬サウンドトゥルーと、のちにシリウスS(G3)を勝つケイアイレオーネが同着で分け合い、前年の全日本2歳優駿(Jpn1)を逃げ切ったサマリーズも参戦するなどレベルの高い1戦だった。
そのレースに3番人気で出走した本馬は、手応えよく中団を進むと、最後の直線では巧みにインコースから抜け出し、最後は1馬身4分の1差をつけて、重賞初勝利を記録している。その後、長く中央地方のダートマイル路線をあゆみ、8歳秋に引退するまで通算36戦して9勝2着9回3着5回。マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)2連覇、プロキオンS(G3)2連覇ほか6歳から7歳にかけては3つのG1/Jpn1含み重賞競走で2着連続5回という珍しい記録?も打ち立てて記憶にも、記録にも残る名馬になり、マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)6着を最後に、現役生活を引退。現在は新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬となり、その初年度産駒は2022年の春からデビューしている。
5月末現在で2歳新種牡馬ランキング1位。まだ2歳戦はスタートしたばかりとは言え、2歳総合ランキングでも並み居る強豪を抑えてホッコータルマエに次ぐ2位。現役時代、とくに若い頃はどちらかといえば追い込みで鳴らした馬だったが、種牡馬としては好ダッシュを決めている。
「種牡馬としておとなしい性格だと思います。とくに人間の手を煩わせることなく、元気に過ごしています」とは優俊スタリオンステーション。種牡馬となった初年度から158頭の繁殖牝馬を集める人気種牡馬となり、それを平気でこなすあたり、普段からはあまり無駄なことに体力を消耗しない証でもある。
「(ベストウォーリアの)体型は筋肉量が多くて、どちらかといえば短距離だと思うのですが、長い距離でも崩れることなく結果を残すことができたのは、この性格によるものだと思います。本当に扱いやすいです」とかわいがられている。
普段の放牧地での様子も同様で、周囲にいるホッコータルマエ、ワールドプレミア、そしてサングレーザーのことはあまり気にしている様子はないが、一般見学を行っていないだけに見知らぬ人には興味津々の様子で撮影のために牧柵のそばまで近づくと、馬の方から寄ってくる。この日は、現在リーディングサイアーを争っているホッコータルマエとともに元気なアクションを見せてくれるなどサービス精神も満点だ。
そんなベストウォーリアの子供たちについても聞いてみた。「もちろん全部を見たわけではないのですが、産駒は色々なタイプがいると思います。この馬に似た筋肉質の馬もいれば、祖父マジェスティックウォリアーのようなスラっとした馬もいます。こういうタイプは活躍の場が広いので楽しみが広がります」と期待に胸を膨らませている。
「ホッカイドウ競馬、そして南関東といったレベルの高い地区で産駒がどんどん勝ち上がっているのは嬉しいです。将来的には、この馬自身がそうだったように、いろいろな競馬場で産駒が活躍してくれて、現役時代のこの馬のことを思い出してもらえるような種牡馬になって欲しいと思います。外国産馬ですが、日本中にファンがいる馬。その期待に応えてほしい」とエールが贈られている。