セイウンコウセイを訪ねて~アロースタッド
4歳春、高松宮記念(G1)に勝利し、長く短距離重賞路線を盛り上げたセイウンコウセイは2021年の阪神カップ(G2)6着を最後に引退し、新ひだか町のアロースタッドで種牡馬生活に入っている。2歳6月のデビューから6年と半年。大きなケガもなくタフに走り続けることができたのは、勝ち得たG1タイトルと同じくらいに価値がある勲章だったかもしれない。
「暮れの阪神カップ(G2)を使ってからの引退、種牡馬入りでしたので、アロースタッドに到着したのは1月6日でした。種牡馬展示会、種付けの解禁日までほとんど日がなく担当スタッフは大変だったと思います」と事務局の(株)ジェイエス。そうしたスタッフの頑張りもあって、種牡馬としての様々な検査や登録、そして試験種付も無事に終了させて2月9日の種牡馬展示会でのお披露目を無事に終了させている。それから4か月余り。種牡馬1年生として頑張っているセイウンコウセイを訪ねた。
現在、アロースタッドでは30頭を超える種牡馬たちを繋養し、繁殖牝馬を待っている。当然、放牧地スペースも広くあり、セイウンコウセイは事務所からは離れた遠いところの放牧地にいた。
担当スタッフの泉山さんによれば「去年まで(同じオーナーの)ネロが使っていた場所なのです。新しい環境に慣れるまではなるべく静かで、ほかに気を使わなくて済むという意味では良い場所だと思っています」とのこと。時折、隣の放牧地にいる日本ダービー馬のワンアンドオンリーや、新馬、デイリー杯2歳S(G2)に優勝したレッドベルジュールが走りだせば、一緒になって走ることもあるというが、新しい環境に戸惑うこともなく、普段は穏やかに過ごしているという。
「まだ最初のシーズンを終えていないのではっきりしたことは言えませんが種牡馬としてはおとなしい方だと思います。手もかからず、扱いも楽。何よりも種付けが上手なので生産者の方々には喜ばれています。試験種付の段階から、まるでベテラン種牡馬のようでした」とエピソードをちらり。そして「来年生まれてくる子供たちには、お父さんを思い出してもらえるような活躍を期待したいです」と期待に胸を膨らませている。
種牡馬到着の際には、西山牧場スタッフの方が「大きなタイトルを勝ってくれただけではなく、いろいろな世代の強いライバルたちを相手に、長い競走生活を送ってくれた馬。頭が下がる思いですし、自分たちにとっては誇りに思えるような馬です。セールスポイントはスピードと強い体質。この馬の良いところを子供に伝えてくれれば、良い種牡馬になれると思います」と目を輝かせていた。セイウンコウセイの前途には一点の曇りもない青空が広がっていくことを願いたい。