馬産地コラム

ゴールドシップを訪ねて~ビッグレッドファーム

  • 2016年05月02日
  • ゴールドシップ
    ゴールドシップ
  • 穏やかな表情になった
    穏やかな表情になった
  • 新緑の中に映える馬体
    新緑の中に映える馬体
  • 父ステイゴールドと同じ厩舎で過ごしている
    父ステイゴールドと同じ厩舎で過ごしている

 昨年の有馬記念(G1)を最後に競走馬を引退し、ビックレッドファームで種牡馬として新生活を送るゴールドシップを訪ねた。

 ゴールドシップは日高町出口牧場の生産馬。父ステイゴールド、母ポイントフラッグ、母父メジロマックイーンという血統。2012年共同通信杯(G3)、皐月賞(G1)、神戸新聞杯(G2)、菊花賞(G1)、有馬記念(G1)に優勝。圧倒的な強さでこの年の最優秀3歳牡馬に選出された。その後も阪神大賞典(G2)を2013~2015年と3年連続優勝、史上初の宝塚記念(G1)連覇、凱旋門賞(G1)の出走も遂げた。6歳時には天皇賞(春)(G1)を優勝し4年連続でのG1制覇など卓越した競走成績を残した。

 「こちらには引退して間もない今年1月に異動してきたのですが、初めての場所でもテンションも高くならずに落ち着いた様子でした。父のステイゴールドはチャカチャカした激しい気性だったので僕もその雰囲気で構えて本馬を迎えたのですが、想像していたより大人しい子だなという印象でした。」そう初対面の感想を教えてくれたのはゴールドシップを担当しているスタリオンスタッフの下村光さん。父ステイゴールドも担当していた経験があり、父子の共通点や特徴を良く把握している。

 「現在は環境に馴染んで落ち着いていて、どちらかというとポーっとしているタイプですね。性格はおっとりしていて基本的に悪さはしない子です。ステイゴールドだったら完全に襲われていたなと思うようなことでも本馬はそういうそぶりもみせないので、本当にステイゴールドの仔なのかと思う事があるくらいです。ステイゴールドは繁殖牝馬をそれぞれ事細かに覚えていて、癖のある繁殖牝馬だったりすると慎重にかかったりしていました。悪知恵も働きましたが頭はとても良かったです。自分なりに考えて行動したり、気分屋な所、そして頭の良さはゴールドシップも受け継いでいるなと思います。スタッフやお客様からの呼び名はゴルシーやゴーちゃんなど様々ですが皆から可愛がってもらっています。」競走馬時代を思うとやんちゃな気性の印象だったが、放牧地で過ごす顔つきは穏やかで手入れが行き届いた真っ白な馬体が新緑に映えて眩しいくらいだ。

 種付けシーズンまであまり期間が無かったゴールドシップは、競走馬あがりの馬体を種牡馬の馬体にすべく、体重を増やしたりウォーキングマシンで軽い運動をするなどして準備を整えた。その甲斐あって体調は万全、健康そのもので繁忙期を迎えている。「種付けは父と同じく手がかからず、上手く順調にこなしています。繁殖牝馬次第で距離適性も変わってくるとは思いますが、本馬は中長距離で活躍してきましたし、馬体も大きくてパワーがとにかくすごい馬なので、産駒も同じくスタミナがある芝向きの仔や、パワーを生かしダートも行ける仔が生まれてくれたらと色んなイメージを持って誕生を楽しみにしています。」満面の笑みの下村さんは期待に胸を膨らませている。

 「ステイゴールドが好きだったので、ゴールドシップも好きになったというファンの方もたくさんいると聞きました。同様に、この先も長く愛して頂けたら幸いです。いつまでも健康で長生きをして、いつか天皇賞みたいな大きな舞台に立てるような産駒を多く出して欲しいですね。種付けの時以外はゴールドシップに会えますので、ルールを守って頂き、是非会いに来てください。」新たな伝説を魅せてくれるであろう待望の産駒は来年誕生し2019年にデビューする。