馬産地コラム

モンストールを訪ねて~JRA日高育成牧場

  • 2015年03月31日
  • モンストール
    モンストール
  • 手入れが行き届いた馬体
    手入れが行き届いた馬体
  • 担当の上田さん
    担当の上田さん
  • 障害飛越練習中
    障害飛越練習中
  • 充実した育成屋内馬場
    充実した育成屋内馬場

 JRA日高育成牧場(浦河町)で乗馬としての生活に奮闘しているモンストール(せん馬 6歳)を訪ねた。

 モンストールは村下農場(浦河町)の生産馬で父アドマイヤマックス、母イソノスワローという血統。半兄には函館競馬でデビュー勝ちしたトラストワンがいる。2010年のサマーセールに上場し、JRA日本中央競馬会によって購買された。翌2011年東日本大震災の後に行われたJRAブリーズアップセールに上場、871.5万円(税込)で落札された。夏の新潟新馬戦でデビュー勝ちし、迎えた新潟2歳S(G3)では4番人気の中、2014年の世界一のレーティングに輝いたジャスタウェイの猛追をかわし重賞初優勝を飾る。この勝利は父アドマイヤマックスにとってもJRA初重賞勝ちとなった。

 そのまま順調にレースをすすめ、やがてクラシック路線へと思われたがのど鳴りを患い、出走はするものの勝利からは遠ざかる日々が続いた。2014年石和特別(1000万下)で3年ぶりの勝利を挙げるがその後は勝利に届かず、同年12月に引退し、育成時代を過ごした日高育成牧場に戻り乗馬としてのトレーニングを積んでいる。

 「美浦から船で浦河に帰って来たため、当初は疲れを見せて元気が無かったです。でも、育成時代に見慣れた風景という事もあり、体調も間もなく回復して環境にもすぐに馴染みました。」そう話してくれたのは業務課育成係の上田圭一郎さん(36歳)。競走馬の育成調教の仕事が終わってから、モンストールの乗馬としてのトレーニングを続けている。

 朝6時に朝飼い、8時に放牧、昼頃に馬房に戻り、夕方からトレーニングを開始する。上田さんが騎乗するとそれまでののんびりした態度から一変、上田さんからの指示を待つ集中力を見せた。先ずはフラットワークで体をほぐし、横木をまたいだりして障害物を通過する事を覚えさせる。リズム良く通過するようになったら低いクロス障害飛越、垂直障害飛越へと進行していく。競走馬時代とは体の使い方が異なるため引退して3カ月程では慣れない部分があるのではと思いきや「頭が良く素直なので順調に進んでいます。今は80センチの障害まで飛越できるようになりました。いずれは馬術競技会で110センチ、120センチクラスの競技に出る事を目標にトレーニングを積んで行けたらと思っています。」と笑顔で話しながら従順なモンストールの首をポンポンと軽くたたき、「良く頑張ったね」の合図を送った。

 競技会に出るとなるとまだ先の話になるが、夏に浦河町で行われる町民乗馬大会の障害飛越競技に参加することが目下の目標となっているそうだ。また、要望があれば場内見学ツアーの際に会えるよう検討もあり得るとの事。第2の馬生を始めたモンストールが競技会などで頑張っている姿をみかけたら、是非温かい声援を送って欲しい。