馬産地コラム

ソングオブウインドを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • ソングオブウインド
    ソングオブウインド
  • 放牧地ではリラックスした様子
    放牧地ではリラックスした様子
  • 母の父サンデーサイレンスらしい顔つき
    母の父サンデーサイレンスらしい顔つき
  • 菊花賞馬ながら、産駒は短い距離でも活躍中
    菊花賞馬ながら、産駒は短い距離でも活躍中

 2006年の菊花賞(G1)の覇者ソングオブウインドを訪ねた。現在は新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬生活を送っている。

 「11歳となった現在も元気に過ごしています。気性は穏やかで、種付けも上手。手がかからない馬ですね。」と、紹介してくれたのは、優駿スタリオンステーション主任の山崎努さん。秋が深まりつつある放牧地で英気を養っている。現場での呼び名は「ソング」。青鹿毛の馬体は緑に映え、顔の流星は祖父サンデーサイレンスを思い出させる。 

 現役時代は11戦3勝。3歳1月のデビューから初勝利に5戦を要したが、芝に矛先を変えると更にパフォーマンスを上げて500万クラスを突破し、夏のラジオNIKKEI賞(G3)では僅差2着。続く神戸新聞杯(G2)では勝ち馬ドリームパスポート、ダービー馬メイショウサムソンと接戦の3着に健闘し、クラシックへの出走権を得た。トライアルからコンビの武幸四郎騎手を背に迎えた菊花賞(G1)は8番人気の支持で、戦前は穴馬的存在だったが、後方待機策から徐々に進出し、最後の直線で上がり33.5秒の末脚を発揮。鮮やかにライバルを抜き去り、見事菊の栄冠を獲得した。暮れの香港ヴァーズ(G1)4着を最後に引退し、2007年から種牡馬生活を開始した。

 産駒はこれまで5世代がデビューし、約100頭が勝ち馬となっている。初年度産駒からライステラスが阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で3着に好走し、牝馬の一線級とまみえたことは話題となり、次いでアイファーソングはダートで快調に勝ち星を重ね、アンタレスステークス(G3)で2着に入った。昨今はホッカイドウ競馬でグッドグラッドが重賞を制し、大一番・道営記念(H1)でも有力視されている。

 「芝でもダートでも活躍馬が現れていますね。早い時期から結果を出す馬がいる一方で、グッドグラッドのように遅咲きの馬もいます。ソングオブウインド自身は3歳までの現役生活でしたが、成長力に富んだ産駒も望めるでしょう。」と、山崎さんは話す。

 また、父エルコンドルパサー、母の父サンデーサイレンスという血統構成は新種牡馬ヴァーミリアンと同じ。ヴァーミリアンの初年度産駒が今のところスピードある走りを見せていることからは、ソングオブウインドが菊花賞馬というプロフィールながら、短距離適性のある産駒をもっと思い描いても良いのかもしれない。かつての戦歴をひも解けば、ソングオブウインド自身、ダ1,400mの3歳未勝利戦で2着に来ている。

 今年デビューの2歳世代は過去最多の81頭が血統登録しており、JRAではさっそくカゼノトビラが、南関東ではノースサンダーが特別戦を勝利し、ホッカイドウ競馬ではサプライズソングが素質ある走りを示して、秋の重賞で1番人気に推された。来春のクラシックに向けて、新たな風は吹き出そうとしている。山崎さんは、

 「父を彷彿とさせるような産駒を出していきたいですね。まだまだ可能性を秘めた馬だと思いますし、長い種牡馬生活を叶えたい。2歳世代も含めて、産駒の走りに期待しています。」と、真剣な眼差し。父は日本調教馬として、今も高く立ちはだかる凱旋門賞(G1)制覇に迫ったエルコンドルパサー。残念ながら7歳で早世したが、その血は孫へと広がり、クリソライト、アイムユアーズらが活躍している。その彼の数少ない後継種牡馬としても、ソングオブウインドの威力は今より一層発揮されて不思議はない。