馬産地コラム

ジャングルポケットを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション

  • 2013年12月24日
  • ジャングルポケット
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 産駒のヴェルデグルーンがオールカマー(G2)に勝利し、産駒デビューの2006年からの連続年度重賞勝利記録を「8」に伸ばしたジャングルポケットを、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションに訪ねた。

 社台スタリオンステーションで10年間。11年目のシーズンは新天地に移動しての種付業務となったが、その人気は衰えることなく122頭の牝馬がこの馬の血を求めた。

 「種付けも上手な馬ですし、受胎率が良い馬です。シーズン122頭という数字の割には楽だったと思います。とにかくダービー(G1)とジャパンカップ(G1)に勝って、年度代表馬になって、それからクラシックサイアーですから。こんな馬を扱えるのは、幸せそのものです」と、本当に嬉しそうにジャングルポケットの世話をするのは、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションの佐々木司さんだ。

 移動してから約1年間。今ではすっかり気心の知れた仲となり、良きパートナーぶりを発揮している。「最初に、この馬の担当と言われたときは夢のようでした。到着が待ち遠しかったことを覚えています。もちろん、種牡馬とその担当者として本当の意味での信頼関係を築くには、単に可愛がるだけではダメですが、この馬は人懐っこい馬で、放牧地でも呼べば近くに来てくれるし、手入れのときなど甘えてくるんです。それがまたかわいくて」と無邪気な笑顔を見せてくれる。

 やや薄手で無駄肉のない、引き締まった馬体には、トニービンの血が表現されている。軽快な歩様で放牧地を歩き、隣にいるローズキングダムにあわせて力強いキャンターを見せてくれることもあるという。

 「この1年で、ずいぶんとたくさんのファンの方に愛されているんだなということを再確認させてもらいました。夏の見学シーズンは、この馬を目当てに来場される方が本当に多かったです」と、また嬉しそうだ。

 そんなファンの人たちのためにも「夢というか、現実の目標としてはダービー(G1)の父子制覇です。リーディングサイアー上位の常連でもありますし、ジャングルポケットの子は大きな競馬場を得意とするので、決して夢ではないと思っています。そのためにも、シーズン途中で馬が休むことのないようにケガやアクシデントに注意して、そして無事に来年のシーズンを乗り越えて欲しいと思います。それがぼくに与えられた最低限の仕事だと思っていますから」と、この時ばかりは表情が引き締まった。

 ちょうど12年前の秋。晩秋の東京競馬場でテイエムオペラオーのジャパンカップ(G1)2連覇を阻んだ馬も15歳となった。種牡馬としては、まだ老け込む年齢ではない。この馬を応援するすべての人たちのために、もうひと花も、ふた花も咲かせてほしいものだ。