馬産地コラム

シニスターミニスターを訪ねて~アロースタッド

  • シニスターミニスター
    シニスターミニスター
  • 時折子供っぽい面を見せるも、普段は大人しい
    時折子供っぽい面を見せるも、普段は大人しい
  • スタリオンでの呼び名は「シニスター」
    スタリオンでの呼び名は「シニスター」
  • 産駒のJRA重賞制覇で人気上昇中
    産駒のJRA重賞制覇で人気上昇中

 アロースタッドで種牡馬生活を送るアメリカG1馬シニスターミニスター(アメリカ産)を訪ねた。今夏、産駒インカンテーションがレパードS(G3)を制覇。HBAサマーセール1歳では上場産駒14頭中13頭落札と、売れに売れた。目下、馬産地で話題の一頭と紹介したい。

 「今季は過去最多の76頭と交配しました。種牡馬入り当初はツメに難のある馬でしたけど、今は全く問題なく、健康状態は良いですね。気性はわりと大人しいです。時折、子供っぽいところも見せますけど、手を焼くほどではありません。種付けも上手い方で、体質も年々強くなってきました。」と、近況を語ってくれたのは、同スタッドの本間一幸主任。夏を越し、気温が下がってきた放牧地でのんびりとシーズンオフを過ごしている。現場での呼び名は「シニスター」。夏~秋は同い年の種牡馬仲間スーパーホーネットやフサイチリシャールとともに、見学時間に来るファンとの挨拶に精を出す。

 種牡馬カタログのシニスターミニスターのページには、「圧勝」「大楽勝」の文字が躍る。現役時代の派手な勝ちっぷりには、そうした言葉を引き出さずにはいられない。最初にインパクトを与えたのは初勝利となった2戦目のメイドン。途中からハナを奪ってグングン後続を突き放し、8馬身差のワンサイドゲームを演じた。そのパフォーマンスの高さは、アメリカの名トレーナーであるB.バファート厩舎移籍のきっかけとなった。更に上を行く内容を示したのが、2勝目となったブルーグラスS(G1)。天性のスピードで先頭に立つと、レース前半から後続を大きく引き離し、そのまま12馬身3/4もの差を付けてゴールを果たした。一躍クラシック候補に躍り出たのは言うまでもなく、続くケンタッキーダービー(G1)でも上位人気に推されたが、圧巻の前哨戦で燃え尽きてしまったのか、よもやの大敗を喫し、その後も勝利を挙げることはできなかった。通算成績は13戦2勝。敗れた回数こそ多々あれ、センセーショナルな勝ちっぷりを示した2戦は、種牡馬としての可能性を見出されるに十分な内容だった。

 2008年より日本で種牡馬生活を開始し、現在では3世代が競走年齢に達した。デビューした産駒のうち半数以上が勝ち馬となっており、今夏はインカンテーションがJRA重賞勝ちを叶え、リプレイスインディが4連勝で笠松の重賞を仕留めた。父の遺伝子を受け継ぎ、産駒は総じてダートが得意で、序盤からサッと前々へ取りつける。4角先頭から力任せに押し切るスタイルはアメリカ血統らしい。本間主任は、「短距離で勝ち上がる馬もいれば、ダブルスターやリーゼントブルースのように中距離で勝つ馬もいます。距離適性の幅は長所でしょう。2歳戦でも良い結果が出ていますし、牡・牝で結果の偏りもない。とにかく堅実です。」と、分析する。確実に塁に出るイメージに上乗せして、インカンテーションの放った一発で、その人気はグッと熱を帯び出している。

 種牡馬の多くが2年目、3年目と交配頭数を下げてしまう傾向のある中、シニスターミニスターは初年度から60頭前後をキープし、落ち込んだ時期はない。常に支持を受けてきて、数字を残した中でのブレイク。流行りや一過性の盛り上がりとは違う。「手ごろな種付料ですが、上々の結果を積み重ねていますからね。今年のサマーセールでの成果も、来年につながっていくと思います。交配の選択肢が広いタイプですし、サンデー系牝馬とも合うでしょう。年齢的にはまだ10歳。種牡馬として活躍期間は十分ありますし、もっと交配頭数を伸ばしていきたいです。先々はアロースタッドの柱となれるような種牡馬になって欲しいと思います。」と、本間主任は願いを込める。

 ブライアンズタイム亡きあと、スズカマンボ、スズカフェニックスと、アロースタッドの次世代種牡馬が気を吐いている。「ベテランに負けじと若い種牡馬も頑張ってくれて、ありがたいです。」と、本間主任は笑みをこぼす。そこに加勢するように、シニスターミニスターの躍進ぶりも現場のムードを明るくしている。


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