馬産地コラム

アドマイヤムーンを訪ねて~ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス

  • アドマイヤムーン
    アドマイヤムーン
  • 気持ちの切り替えが上手く、穏やかな気性の持ち主
    気持ちの切り替えが上手く、穏やかな気性の持ち主
  • 身のこなしの柔らかい馬
    身のこなしの柔らかい馬
  • 2世代目産駒からも素質馬を輩出
    2世代目産駒からも素質馬を輩出

 日本馬の海外遠征はまるでオリンピックを見ているようで、特別な興奮を覚える。海を渡って勝つことは本当に難しい。今も昔も、その勇敢な挑戦には_たとえ勝っても負けても_大きな拍手を送りたくなる。これから紹介するアドマイヤムーン(ノーザンファーム生産)にも、あの晩、あの夕方、嬉しくて、あるいは悔しくて、手を叩いたファンは少なくないのではないか。

 国内外のG1タイトルをひっさげ、今年で種牡馬生活5シーズンに突入したアドマイヤムーンは、日高町のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで繋養されている。

 「すっかり種牡馬らしくなり、風格が出てきましたね。健康状態は非常に良いです。」と、紹介してくれたのはダーレー・ジャパンのノミネーションマネージャーを務める加治屋正太郎さん。秋深まるこの時期は朝に放牧し、それから引き運動、1時間のロンジングをしてコンディションを整えている。放牧地を駆ける姿は躍動感たっぷりで、コンディションの良さを物語る。

 「現役時代は闘争心の強い馬だったと聞いていますが、普段は穏やかな気性です。賢い馬で、スイッチの切り替えが上手。種付けは集中力を持ってしっかりこなします。今年も忙しいシーズンを送りましたが、体調管理に十分注意しながら順調にクリアしました。」と、加治屋さん。初年度からの交配頭数は138、195、126、125と推移し、今年は過去2年を上回る157頭を記録。昨今の交配馬リストを眺めてみると、クラシックホース、2歳G1馬、ダートG1馬、重賞馬の母…そのラインナップは相変わらず上質だ。

 初年度産駒は昨年デビューし、レオアクティブ、ファインチョイスがJRA重賞制覇。スノードン、セイクレットレーヴ、ハクサンムーンらもG1へ駒を進め、早々と父としての存在感を示した。2世代目からもブリーズアップセールで高額取引されたメイケイペガムーン、アットウィル、プレイズエターナルらがすでに頭角を現し、大舞台へのチャンスをみなぎらせている。

 「大きすぎず、小さすぎず、バランスのとれた産駒を出しますね。仕上がりが早く、新馬勝ちの多さも長所です。父の現役時代同様、芝での好走が目立っていますが、ダートでも高いパフォーマンスを発揮する産駒が出現しています。」と、加治屋さんは分析する。確かに、産駒の重賞・特別勝ちの多くは芝だが、ダートでの圧勝、快勝も強調材料。アドマイヤムーンの父エンドスウィープはフォーティナイナーの直仔らしく、サウスヴィグラス、プリサイスエンドといったダート適性の高い後継種牡馬を残しているだけに、芝でも、ダートでも大物を出す可能性を秘めている。

 「今後も高いレベルで活躍できる産駒を出していきたいです。その名に恥じないような結果と、トップスタリオンの仲間入りを目指していきます。」と、加治屋さんは意気込む。その遺伝子には国境を超えた強さが宿っている。世界が見上げた月_アドマイヤムーンを介して、海の向こうの大舞台は再び浮き上がってくるだろう。