馬産地コラム

ナカヤマフェスタを訪ねて~ブリーダーズスタリオンステーション

  • 2012年06月26日
  • ナカヤマフェスタ
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    ナカヤマフェスタ

 2010年の最優秀4歳以上牡馬を受賞し、現在は日高町のブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬1年生になったナカヤマフェスタを訪ねた。

 ブエナビスタ、アーネストリー、ドリームジャーニー、ジャガーメイル、ロジユニヴァースという並みいるG1馬を退け、その後世界に羽ばたいたドリームレースから2年。牡馬としては線の細い印象だった馬体も、逞しく、種牡馬らしい体型へと変貌した。

 ナカヤマフェスタの父、ステイゴールドは同スタリオンステーションと新冠町のビッグレッドファームを2年置きに移動する国内シャトルスタリオン。昨年11月3日、孝行息子がスタッドインを果たしたときはすでにビッグレッドファームへ移動しており、入れ違いになってしまった。

 「ステイの子というのもあるし、現役時代のエピソードからもクセがありそうだったから最初は警戒しましたよ」と笑う坂本教文場長。実際迎えてみれば大人しい馬で拍子抜けしたのだとか。

 「普段は大人しいけど、雨が降ると放牧に出たがらなかったり、天気が良くても気分がのらないと放牧地へ向かう途中で立ち往生したりと、気分屋なところはありますね。周りの状況、人や他の馬たちの動きをよく観察してから次の行動に出るような賢さは父と共通してます。自分の中で納得すればちゃんと指示に従ってくれますから、手にあまるわけではありませんしね。ステイに似てないところは、何と言っても攻撃性がないところ。これは助かります」。

 種牡馬1年目のシーズンも終盤を迎え、100頭を超える花嫁を集めた。そしてその種付けにも持ち前のこだわりを発揮しているそうで「初年度は勢いでガツガツ行く馬が多いんですが、この馬はテンション高めに種付け場に入って来るものの、やはり牝馬の出方をじっくり窺うので時間はかかってしまいます。乗ってしまえば早いですし上手ではあるんですけどね」と苦笑い。

 かといって特別神経質なわけではなく、放牧地では周りの馬が騒いでも我関せずといった感じで草を食み続けていた。人が近づけば食べるのを止め、寄って来る。人なつっこい?どんな馬なのだろうとしばらく眺めていたら、逆にナカヤマフェスタに観察されていることに気付く。初めは遠巻きに、そして近づいて来てまた離れる。こちらの出方を窺っているようだった。なるほど、坂本場長の言葉を身を以て得心した。

 最後に、坂本場長は「初年度に100頭を超える繁殖を集めることが出来、最高のスタートが切れました。体型がステイに良く似ているので、似たタイプの産駒を出すと思います。人気種牡馬になった親父に負けないくらい走る産駒を送り出して欲しい」と期待を込めた。