馬産地コラム

トシザブイを訪ねて~上村乗馬苑

  • トシザブイ~1
    トシザブイ~1
  • トシザブイ~2
    トシザブイ~2
  • トシザブイ~3
    トシザブイ~3
  • 事務所に飾られている肩掛けや記念品
    事務所に飾られている肩掛けや記念品
  • 兄のトシヴォイスも元気にしてます
    兄のトシヴォイスも元気にしてます

 2002年、2003年の目黒記念(G2)を連覇し、ステイヤーとして人気を博したトシザブイを上村乗馬苑(鹿児島市平川町)に訪ねた。

 2003年の京都大賞典(G2)のレース中に能力喪失となる重症を負った本馬だが、オーナーであり獣医師である上村叶氏(トシの冠名でお馴染み)と関係者の懸命な治療により一命を取り留め、オーナーの経営する上村乗馬苑にて余生を送る事となった。その上村乗馬苑、以前は鹿児島市の街中にあったが、2005年より平川町に移動し、現在は乗馬クラブ及び、オーナーの所有する競走馬の休養や余生を送る牧場として30頭余りを繋養している。

 「こちらは市街より2~3度気温が涼しく、静かで馬にも良い環境ですね」と語ってくれたのは上村叶氏の息子さんで、乗馬苑を任されているインストラクターの上村俊幸さん。一見、牛舎のようにも見える厩舎だが、天井を高くし、ユニット型の馬房を設置することで開放感があり、熱が篭らないよう工夫されている。

 本馬の近況については「重傷を抱えている馬ですが、気持ちは若いし体に張りも有ります。落ち着いている時には少し放牧したりしています。オーナーを始め全てのスタッフがこの馬の余生を最後まで見届けようと思っているのですが、未だに気性が激しくてテンションが上がると跳ね回って自分で古傷を痛めることがあるのが心配の種ですね。頼むから無茶はするなと…」心から本馬の健康を願っている上村さんだ。

 「母ノルデンフリマーの仔はほとんど父(上村叶氏)が購買し走らせていますが、本当に優秀な繁殖牝馬でしたね。5歳上の兄でクラスターカップ(G3)を勝ったトシヴォイス(JRA7勝、地方1勝)は中級者以上の練習馬として活躍している他、トシセント(JRA3勝)、トシナギサ(JRA5勝)、トシザワイルド(JRA2勝)もこちらで乗馬になる練習中です。兄弟5頭が揃っているのはなかなか珍しいでしょう」と語る上村さんだが、この血統とは思わぬ形で過去に関わっていたという。

 「私は17年前に、佐賀競馬で走っていたアングロアラブのセントイーグル号と全日本学生障害飛越競技を優勝したのですが、セントイーグル号の3代母トリーソングはノルデンフリマーの3代母でもあるんですよ。これには驚きました」と上村さん、なんとも不思議な縁だ。

 上村乗馬苑はオーナー経営の牧場だけに、クラブハウスにはトシザブイの肩掛けや記念品が飾られている。「父が『どうせ数字が一つ違うだけだからファンに見て貰いなさい』と言うので飾ることにしました(笑)」とのこと、重賞連覇ならではのエピソードだ。ノルデンフリマーの仔の中で一番激しい気性という本馬だが、無茶をしないで元気に長生きしてもらいたいものだ。

上村乗馬苑ウェブサイト