馬産地コラム

クロフネを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2011年01月13日
  • クロフネ~1
    クロフネ~1
  • クロフネ~2
    クロフネ~2
  • クロフネ
    クロフネ

 名馬キラ星の如くにひしめく社台スタリオンステーション。その中でもひときわ異彩を放っているのが真っ白な馬体になったクロフネだ。

 現在は一般見学台から見える、一番奥の放牧地がクロフネに与えられたスペースだが、その存在は遠めにも確認できる。夏の陽射しに白い馬体が反射して光っている。手前にはディープインパクトがいて、その奥にはトウカイテイオーが。そして3歳年下の皐月賞馬(ダイワメジャー)とダービー馬(キングカメハメハ)と並んでクロフネがいる。緊張感漂う放牧地で、白い馬体が安心感を醸し出している。

 「お父さんのフレンチデピュティは栗毛馬ですが、この父仔はサンデーサイレンス系なんかと比べると、どことなく落ち着いた雰囲気がありますよね」というのは社台スタリオンステーションの徳武英介さんだ。確かに、何かにイライラしてるように見えるサンデーサイレンス系に比べると体全体からはおっとりムードが漂っている。顔に愛嬌が感じられるのは、芦毛の馬体というせいだけでもなさそうだ。

 「とにかく産駒が“勝つ”ということに関しては素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれます」とシーズンをふり返った。2009年はJRA最多の95頭の勝馬を送り、年間120勝はシンボリクリスエスと最多勝タイを記録した。2010年シーズンは自身の記録を更新する112頭の勝馬で154勝を記録した。

 「ポストサンデーサイレンスは、サンデーサイレンスを超える種牡馬というよりも、いかに優秀なサンデーサイレンス牝馬を集めるか、という状況になっています。そういう意味でクロフネは時代の流れにマッチしたといえるかもしれません」という。確かに調べてみれば2010年に記録した154勝のうち半数近い69勝をサンデーサイレンス系牝馬との間に記録している。相性の良さは抜群だ。

 そんな傾向も手伝って2010年シーズンは209頭の繁殖牝馬に配合を行った。これは非サンデーサイレンス系種牡馬としてはキングカメハメハに次ぐ多さだ。

 「種牡馬にもいろいろなタイプがいますが、新しい馬主さんやアベレージを求める人にはクロフネのようなタイプが喜ばれています。だから、生産者の方も安心して配合できるのではないでしょうか」と人気を分析してくれた。

 そんなクロフネは、まだ13歳。種牡馬としては、これからが充実期に入るといっても過言ではない。クロフネ伝説の第2章はまだ始まったばかりだ。