馬産地コラム

グラスワンダーを訪ねて~ブリーダーズスタリオンステーション

  • グラスワンダー~1
    グラスワンダー~1
  • グラスワンダー~2
    グラスワンダー~2
  • グラスワンダー~3
    グラスワンダー~3

  師走の競馬場にはグラスワンダーがよく似合う。思い出の中山競馬場ではセイウンワンダー、マルカラスカル、コスモヘレノス、そしてフェリシアが重賞V。サクラメガワンダーは12月の重賞を3勝し、アーネストリーも12月の中日新聞杯(G3)を快勝。2010年はビッグロマンスが全日本2歳優駿(Jpn1)にも勝った。

 「本当に寒い時期に産駒が走りますよね」とスタッフも笑顔を見せる。グラスワンダー自身も朝日杯3歳S(G1)と有馬記念(G1)2回。宝塚記念(G1)や京王杯スプリングC(G2)優勝の記憶が薄れるほどに冬のグラスワンダーは印象が強い。そんなこともあって「中山ウインタープレミアム」ではグラスワンダーが最多得票を獲得し「グラスワンダーメモリアル」となっている。

 1998年12月27日。第43回有馬記念(G1)は出走馬16頭のうち半数の8頭がG1ウイナーという豪華メンバーになった。グラスワンダーはセイウンスカイ、エアグルーヴ、メジロブライトに次ぐ4番人気。朝日杯3歳S(G1)のレコード勝ちは衝撃的だったが、その後は骨折の憂き目にあり、ここは復帰3戦目。いまだ2歳時の鋭さを取り戻せないまま、さまざまな不安を抱えながらの出走だった。

 レースは、そんな心配はどこ吹く風。中団を進んだグラスワンダーは的場騎手のゴーサインに鋭く反応すると、一気に前をとらえて先頭でゴールを駆け抜けた。有馬記念(G1)を外国産馬が制したのは史上初のこと。そしてキャリア7戦での優勝も歴代最少キャリアでもあった。

 その後、宝塚記念(G1)でスペシャルウィークを一蹴し、有馬記念(G1)で再び同馬に引導を渡したグラスワンダーは現在、日高町のブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬生活を送っている。美しく輝く栗毛の馬体は15歳という年齢を感じさせない。

 「一言で言えば“スター”ですね」というのは同スタリオンの坂本教文主任だ。さすが1歳秋にキーンランドのセプテンバーセールでUAEのマクトゥームファミリーと争奪戦が繰り広げられたという馬。見るものを魅了する“何か”を持っている。競走馬としてグランプリレース3連覇含むG1レース4勝。種牡馬として産駒成績も安定し、7年連続で重賞V。種付頭数も安定しており、生産者にも人気が高い。

 加えて、ファンの多さもスタリオンでは屈指だという。「外国産馬ですけど、ずっと日本で走っていたからファンも多いですね。とくに女性ファンが多いですね」という。放牧地では無防備なほど穏やかな顔をさらし、大勢のファンに囲まれても堂々としているらしい。「体調が良すぎるのか、食欲が旺盛なんです。放牧地ではずっと草を噛んでいたりします。そんな、のんびりしたところもファンにはたまらないのかもしれませんね」とすっかり手の内にいれている様子だ。