馬産地コラム

グラスワンダーを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション

  • グラスワンダー
    グラスワンダー
  • グラスワンダー-2
    グラスワンダー-2
  • グラスワンダー-3
    グラスワンダー-3
  • 重厚感のある馬体です
    重厚感のある馬体です

 日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションへG1馬グラスワンダー(アメリカ産)を訪ねた。種牡馬入りして今年でちょうど10年目。過去にはオーストラリアへのシャトル種牡馬も経験した。産駒は7世代がデビューし、中央での重賞勝ちは20を超える。今年春には産駒スクリーンヒーローが種牡馬入りし、その血脈は繁栄の一途をたどっている。

  同スタリオンでグラスワンダーを担当する村尾隆平さんに近況を伺うと、「いたって健康です。年齢的な衰えはなく、食欲旺盛で元気いっぱいです。」と、明るい答えが返ってきた。今年は95頭と交配。シビアな種牡馬競争の中で毎年立派な数字をマークしている。今年も多い時は1日4回の種付けをこなし、生産者から根強い支持を集めている。種付けは上手く、若い牝馬が来ると特に嬉しい様子だという。

  放牧地に行きカメラを向けると、どっしりとした栗毛の馬体を現した。村尾さんは、「気性的には温厚で、頭の良い馬ですね。丈はそんなにないのですが、幅があって、重厚感がありますね。」と、特徴を話す。“カシャカシャ”というシャッター音に反応して自ら耳を立てるあたりは、村尾さんの言葉通りの賢い仕草だ。夏の気温の高い日は早朝のみの放牧にとどめたが、現在は朝5時30分から午後1時まで放牧している。過ごしやすい季節を迎え、来年に向けてじっくり英気を養う。

  現役産駒の大将格はやはりアーネストリーだろう。8月の札幌記念(G2)では堂々1番人気に応えて快勝し、秋に向けて芝中長距離路線の主役を狙える一頭だ。一昨年の2歳王者セイウンワンダーも忘れてはならない存在。今年は重賞勝ちを1つ増やして、健在をアピールしている。ダート路線ではヒロアンジェロが9月のトゥインクルレディー賞(S2)を制し、役者の豊富さはリーディング上位種牡馬と全くヒケを取らない。「産駒は芝ダート問わず走っていますね。グラスワンダー自身が幅広い距離で結果を出した馬ですし、産駒の距離適性はバラエティに富んでいます。札幌記念でのアーネストリーの強い勝ちっぷりは来年に向けてPRになりますね。」と、村尾さん。舞台を選ばない産駒の活躍は種牡馬としての魅力を高めている。

  現役時代同様、ファンの人気は相変わらず高く、若年層から高齢の方までグラスワンダー目当てに見学に訪れる方は多いという。村尾さんは、「今年の夏も遠方からファンの方が足を運んでいました。本当に人気のある馬ですね。産駒には自身が果たせなかったクラシック制覇、やはりダービー馬を出したいですね。」と、意欲を燃やす。ファンの温かい声援も追い風に、栗毛の怪物を彷彿とさせる新たな優駿の登場に期待したい。