馬産地コラム

ヤシマソブリンを訪ねて~中橋清牧場

  • 2010年07月08日
  • ヤシマソブリン
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  • ヤシマソブリン~2
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  • ヤシマソブリン~4
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  • ヤシマソブリン~3
    ヤシマソブリン~3

 1994年のラジオたんぱ賞(G3)の勝ち馬、ヤシマソブリン(三石橋本牧場生産)を訪ねた。2007年に種牡馬生活を引退し、現在は新ひだか町三石の中橋清牧場で功労馬となっている。 

 今年19歳となるが顔つきは若々しく、毛ヅヤも良好で、見た目に体調の良さがうかがえる。同牧場の中橋清さんは、「健康状態は良く、安定しています。冬は馬服を着せますが、寒暖の差にも強く、豊かな自然環境の中でたくましく生きています。もうすぐ20歳ですが、年齢を感じさせないほど元気です。」と、近況を伝えてくれた。

 夏季は早朝5時ごろから夕方4時ごろまで放牧しており、気温が高い日は昼間に厩舎へ入れて、涼しい時間帯にのみ放牧している。緑の葉をいっぱいに茂らせた木々が見える放牧地では、終始穏やかな表情を見せていたが、中橋さん曰く、「以前は種牡馬として頑張っていた馬ですし、少し気の強いところはありますね。」とのこと。時折、種牡馬上がりの馬としての一面も見せるようだ。

 現役時代は34戦6勝。3歳時に挑んだクラシックでは上位に好走するも、3冠馬ナリタブライアンの圧倒的な強さに屈したが、夏の3歳重賞・ラジオたんぱ賞(G3)では後のG1馬オフサイドトラップ、タイキブリザードを破り、見事重賞タイトルをものにした。ミルジョージ産駒らしく8歳まで息長く走り、古馬となってからもオープン特別2勝を加え、収得賞金は3億円を突破。中長距離路線でタフに奮闘する常連ホースとして名を馳せた。

 種牡馬としては6頭の産駒を残し、そのうちの1頭モンテコンドル(三石橋本牧場生産)はJRAで新馬勝ちを果たした。現在、2000年産の産駒ブッチが生まれ故郷の太陽ジョイフル牧場で繁殖入りし、すでに4頭の仔を出産。ヤシマソブリンの血を受け継ぐ貴重な牝馬として、孫世代の活躍へ望みがつながっている。中橋さんは、「ヤシマソブリンの血を引く馬が、少しでも活躍してくれると嬉しいですね。」と、切なる願いを込めていた。