馬産地コラム

ツクバシンフォニーを訪ねて~白馬牧場

  • 2010年03月08日
  • 白馬牧場にて種牡馬生活を送っているツクバシンフォニー
    白馬牧場にて種牡馬生活を送っているツクバシンフォニー
  • 同

  • 同

  • 種付けは上手です
    種付けは上手です
 1998年のエプソムカップ(G3)の勝ち馬ツクバシンフォニー(GB)を訪ねた。現在は新冠町の白馬牧場で余生を送っている。

 今年17歳となるが、放牧地を訪ねると元気な姿を見せてくれた。ツクバシンフォニーを管理する白馬牧場スタッフの川越さんは、「健康状態は良いですね。寒さも平気で、馬服を着せずに放牧しても全く問題ないです。よく食べますし、扱いやすい馬ですよ。」と、近況を話してくれた。冬季は朝6時から夕方16時30分まで放牧しているそうで、降り積もった雪を踏みしめながら、のびのびと過ごしていた。

 成績をたどると、ツクバシンフォニーは2、3歳時から頭角を現し、第1回NHKマイルカップ(G1)では勝ち馬タイキフォーチュンから僅か0.1秒差の2着に入った。古馬になってからも強豪馬相手に好走を続け、18戦目となったエプソムカップ(G3)では後に天皇賞(秋)(G1)を制すオフサイドトラップを抑え、見事に重賞初制覇を飾った。通算26戦のうち、掲示板を外したのは5戦だけという安定した成績で競走生活を終える。日本でデビューしたデインヒル産駒の中では3番目に多い収得賞金を稼ぐ成績を残した。

 ツクバシンフォニーの半弟Yeats(IRE)はコロネーションC(G1)や愛セントレジャー(G1)など15勝を挙げた活躍馬で、血統的な魅力を大いに感じさせる馬だ。種牡馬としての期待も大きく、少ない頭数ではあるがこれまで毎年のように種付けをこなしている。「種付けは上手な馬ですし、良い産駒を出してくれると思っています。」と、川越さん。今年も種付けを予定しているという。

 現在も遠方からファンの方々が訪ねてくるという。川越さんは、「あちこちから見学に来られるファンがいて、人気者ですね(笑い)。年齢以上に馬は若いですし、少しでも産駒を送り出していきたいですね。」と、望みを語った。ツクバシンフォニーの高いポテンシャルを受け継いだ2世の登場を心待ちにしたい。
取材班