馬産地コラム

スウィフトカレントを訪ねて~太田ファーム

  • 2017年03月07日
  • 今年で16歳となったが元気いっぱい
    今年で16歳となったが元気いっぱい
  • 放牧地に佇むスウィフトカレント
    放牧地に佇むスウィフトカレント
  • 太田さんにニンジンをねだるスウィフトカレント
    太田さんにニンジンをねだるスウィフトカレント

 青森県の太田ファームで種牡馬生活を送るスウィフトカレント(牡16)を訪ねた。スウィフトカレントは父が大種牡馬サンデーサイレンス、母は英仏重賞勝ち馬のホワイトウォーターアフェア。半兄には安田記念(G1)を制したアサクサデンエン、半弟には日本馬として初めてドバイワールドカップ(G1)を制したヴィクトワールピサという超良血馬として、自身も2006年のサマー2000初代チャンピオンに輝き、同年天皇賞(秋)(G1)ではダイワメジャーに半馬身差まで詰め寄る2着に健闘。8歳までの競走生活で通算42戦6勝、重賞勝ち鞍は小倉記念(G3)のみだったが、血統背景を高く評価され、2010年シーズンからは種牡馬としてブリーダーズ・スタリオン・ステーションにスタッドイン。初年度産駒のサンダラスが野路菊ステークスをレコード勝ちし、ビッグレッドファームからのオファーに応える形で同年秋に同牧場へ移動。その後2シーズン繋養されたのちに2015年秋より現在の太田ファームに移動している。

 「去年は夏負けの影響かシーズン後に馬体が細くなってしまいましたが、今ではすっかり元気になって身体もふっくらとしてきました。サンデーサイレンス直仔でヘイローの2×4という強いクロスを持っているけど普段はとても大人しい馬なんですよ。たまに立ち上がったりするくらいで悪さらしい悪さはほとんど見せませんね」と語るのは対応していただいた太田ファームの太田雅史さん。過去にはフサイチコンコルドやスターキングマンといった名馬たちが同牧場で種牡馬として繋養されていた。

 昨年は産駒のユウチェンジがドバイで行われたUAEダービー(G2)でモレイラ騎手を背に3着と大健闘し、一躍スポットを浴びた。「種牡馬として結果が出尽くしてこちらに移動してきたわけではないので、配合次第ではまだまだやれると思っています。半弟のヴィクトワールピサはサンデーサイレンスの孫世代だけど、スウィフトカレントはサンデー直仔、血統背景は見劣るどころかこちらの方が優れているくらいなんですよ」

 年々生産頭数が減少の一途を辿る東北地方の馬産だが、昨年からはスウィフトカレントとウインバリアシオンという2頭のサンデー系実績馬が相次いでスタッドイン、七戸にある軽種馬協会の種牡馬と北海道への種付けが中心だった馬産がガラリと様変わりした。

 「去年は11頭に種付けしましたが、その中には北海道からユウチェンジの母親にあたるユウキャラットも含まれていました。残念ながら受胎はできませんでしたが、引き続き青森に滞在してもらっているので、今年はなんとか全兄弟を作ってあげたいですね」

 馬産地青森を盛り上げる起爆剤として、ウインバリアシオンだけではなくスウィフトカレントにも今後より一層の活躍を願いたい、そう強く思った今回の取材だった。