馬産地コラム

ノボトゥルーを訪ねて~クラウンホースメイト

  • 2017年02月16日
  • ノボトゥルー
    ノボトゥルー
  • ノボトゥルー
    ノボトゥルー
  • 隣のオンファイアと張り合うノボトゥルー
    隣のオンファイアと張り合うノボトゥルー
  • 毛ヅヤも馬体も健康そのもの
    毛ヅヤも馬体も健康そのもの
  • ノボトゥルーの放牧地
    ノボトゥルーの放牧地
  • クラウンホースメイトの看板
    クラウンホースメイトの看板

 ダート戦線の強豪が集うフェブラリーステークス(G1)。2001年第18回の同レースでも砂のトップクラスが名を連ね、その中で優勝を飾ったノボトゥルーを訪ねた。

 ノボトゥルーは、父Broad Brush(USA)、母Nastique(USA)、母父Naskra(USA)という血統。父母共に米G1勝ち馬という事から高い期待を寄せられていた。

 1998年10月東京競馬場の新馬戦でデビュー。2001年オリビエ・ペリエ騎手とのコンビで根岸ステークス(G3)に出走しコースレコードで重賞初勝利を飾ると続けてフェブラリーステークス(G1)では、トゥザヴィクトリーやイーグルカフェも出走した中、2着ウイングアローに1 1/4馬身差をつけてG1初勝利を挙げた。以後は中央、地方を問わず日本全国を股にかけてダートのあらゆる距離を走り続け2008年、12歳で出走した6度目のフェブラリーステークス(G1)を最後に引退。海外レース1回を含む88戦もレースに挑み活躍した異色のG1馬だ。競走馬引退後は日高スタリオンステーションで種牡馬として新生活をはじめ、2009年にクラウンホースメイトに移動、2015年のシーズン終了と共に種牡馬を引退した。

 ノボトゥルーがのんびりと余生を過ごしているクラウンホースメイトは開業して19年、現在の日高町旭町に牧場を構えてからは17年目を迎え、競走馬の生産、種付け業務を行って来た。過去にセキテイリュウオー(1994年東京新聞杯(G3))やチアズサイレンス(1996年名古屋優駿(東海ダービー)(中央交流))などを繋養、現在はオンファイア(ディープインパクトの全弟)、サムライハート(全姉にアドマイヤグルーヴ)、ノボジャック(JBCスプリント(中央交流(G1)))、フォーティナイナーズサンなどの現役種牡馬も繋養されている。

 「依頼があれば、すぐにでも種牡馬に戻れますよ!」ノボトゥルーの近況をそう話してくれたのはクラウンホースメイトの代表、箕輪正勝さん。21歳とは思えないほどの引き締まった馬体と毛ヅヤ、隣の放牧地にいるオンファイアと張り合う姿を目の当たりにするとその言葉にうなずける。「当牧場のノボトゥルー産駒傾向は、きつい性格が多いですが柔らかみがあってノボトゥルーを大きくしたような馬格でゆったりとしていて芝でも対応できそうに思えました。同馬も芝で勝ち星をあげられたのでは?と思うくらいですよ。種付けも腰の伸びが良く上手にこなしていました。馬体の痛みもなく、古傷も脚もとの不安も注意が必要な癖も無い、食事なんて残した事もない、腹痛を7年くらい前に一度起こしただけで健康そのものだし全然手がかからないですよ。」そんなノボトゥルーを前にして箕輪さんも愉快に笑う。かなりハードなスケジュールをこなしていた現役時代を考えると相当タフなのだろう。「うちの考え方は馬なり。余計な事はしないの。でも栄養だけは、年齢に応じて歯や腸の状態に留意しながら消化に良いものを食べさせています。」

 年数が経つ事によって繋養していた種馬が死んでしまったとしてもその頃に培った人間関係、馬に対しての深い思いがある人との交流を今も大切にしていると話す箕輪さん、「ノボトゥルーの元気な姿を見て涙を流した方もいました。そういう場面を見ると頑張らなくてはと思います。特に外国産馬は帰る場所がないし、縁あってうちに貢献してくれた馬達だからこのままずっとここにおいておくつもり。体力的に持つかな。」明るく笑う箕輪さんの、深く馬を想う気持ちに心が温かくなっていく。

 ノボトゥルー最後の子供達も今年は1歳。「6歳になるキョウノミライも今年道営で走るようですし楽しみ。」父のタフな馬体を引き継ぎ、猛然とスパートする産駒の活躍に期待したい。