ジャングルポケットを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
2001年の日本ダービー(G1)、ジャパンカップ(G1)を優勝し、この年の年度代表馬、最優秀3歳牡馬のタイトルも手にして強烈な印象を残したジャングルポケットを訪ねた。日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで過ごす種牡馬生活は12月で4年目となる。
競走馬時代の戦績は13戦5勝。2歳(旧3歳)時に札幌3歳S(G3)を制し、ラジオたんぱ杯3歳S(G3)に駒を進めたがアグネスタキオンに完敗した。皐月賞(G1)3着のあと, 東京競馬場を得意とするトニービン産駒らしく 末脚を爆発させ日本ダービー(G1)を快勝。菊花賞(G1)は見せ場が無かったがジャパンC(G1)ではテイエムオペラオーを直線一気で遠ざけ優勝を果たした。
「今年18歳になりますが、食欲もあり体調も崩すことなく元気に過ごしています。無駄に太らない馬なので食べさせて馬体をキープしています。今の時期は朝6時30分頃に放牧して13時位に集牧し、手入れをしてから飼い葉をあげます。冬は負担がかかる季節なので特に体調体温に気を配って、食事は年齢に合わせて栄養価の高いものにシフトして行っています。運動不足解消するため引き馬などの軽い運動も取り入れて、怪我や病気無く来シーズンを迎えられるように、準備を整えています。」近況を話してくれたのは佐々木司さん。4年前ジャングルポケットが同種馬場に移動して来た当初から担当を任されたのだそうだ。「ダービー、ジャパンカップ馬だったのですごい馬が来たなと気持ちが高ぶった事を覚えています。普段は人懐っこいタイプではありませんが、手入れの時などはじゃれて来たり口元を触ると舌を出したりしてかわいい仕草をするんですよ。基本的には手がかからず人間には何もしないのですが、他の馬に対しては敏感で神経質な所があるので気を付けています。そういう所は種馬なので男らしいですね。放牧地に放すと先ず走り回って、周りを確認してから草を食べています。隣のローズキングダムやナカヤマフェスタが走ると競って走り出す負けん気の強さを見せていますよ。」18歳でも元気いっぱい、充実した生活を送っているようだ。
産駒の活躍も目覚ましかった今年、嬉しい限りだと佐々木さんは喜びを隠さない。「2歳は新馬戦に勝つ馬が出ていますし、3歳世代の活躍で種馬としてまだまだやれるぞと言う所を見せてくれたので、種付け数もそれに影響を受けたのかなと思っています。中でも6歳になったアウォーディーの活躍がすごくて先日のJBCクラシック(Jpn1)で10勝目を飾りダートに転向してから負けなしの6戦6勝、強いですね。次走中京のチャンピオンズC(G1)が楽しみで、勝利できるよう応援しています。これまでは芝でまずまずの成績をあげていましたがダートでズバ抜けてすごいのが出たので、来年も種付けの需要が高まるのではと期待しています。」
ジャングルポケットを「相棒のような存在」と話す佐々木さんはトーセンジョーダン、ローズキングダム、リオンディーズも担当しているそうだ。「G1馬に携わらせてもらってとても有難いですし、やりがいを感じています。ジャングルポケットには、怪我や病気なく過ごせるように考えて寄り添って行くから、これからも信頼関係を少しずつ築きながらお互い仕事を頑張って行こうな!そしていつかダービー(G1)父仔制覇を成し遂げよう。と、心の中で声をかけています。」照れながらも熱い思いを打ち明けてくれた佐々木さんとスタッフの皆さん、毎年会いに来てくれるファンからの愛情を受けながら過ごすジャングルポケット。そのバラエティに富んだ産駒の活躍に夢が膨らむ。