馬産地コラム

グラスワンダーを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション

  • 2016年06月21日
  • グラスワンダー
    グラスワンダー
  • 種牡馬らしく逞しい馬体
    種牡馬らしく逞しい馬体
  • 朝日に輝く馬体
    朝日に輝く馬体
  • 放牧地ではのんびり過ごしている
    放牧地ではのんびり過ごしている
  • 隣のブラックタイドの様子をうかがう
    隣のブラックタイドの様子をうかがう

  日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬生活を送っている1999年宝塚記念(G1)優勝馬グラスワンダーを訪ねた。

 父シルヴァーホーク、母アメリフローラという血統、父母共に米国産で父シルヴァーホークは英・愛で8戦3勝。クレイヴァンS(G3)に優勝し、愛国ダービー(G1)2着、英国ダービー(G1)は3着。種牡馬として成功し、日本の芝向きの産駒を出すことで評価が高かった。母アメリフローラはダンチヒ産駒で不出走だが、全妹にワンダーアゲイン(米7勝、ダイアナH(G1)、ガーデンシティBCH(G1))がいる。

 米国産馬のグラスワンダーは1997年9月2歳の中山競馬でデビュー。新馬戦から圧倒的パフォーマンスを見せ、アイビーS、京成杯3歳S(G2)と勝ち進み4連勝目となる朝日杯3歳S(G1)をレコード勝利し同年の最優秀2歳牡馬に輝いた。翌年は外国産馬としては初の有馬記念(G1)優勝。4歳時には宝塚記念(G1)と有馬記念(G1)でスペシャルウィーク相手に圧勝し、世代上位の力を見せ付け、グランプリレース3連覇。同年のJRA賞特別賞を受賞した。2001年より種牡馬となり産駒にはジャパンカップ(G1)優勝馬スクリーンヒーロー、宝塚記念(G1)優勝馬アーネストリー、朝日杯フューチュリティステークス(Jpn1)優勝馬セイウンワンダーなど、5頭のG1・Jpn1競走優勝馬を輩出している。

 「引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬となったのですが、南半球オーストラリアへのシャトル供用のちに、厚真の検疫を経てこちらに移動してきました。8年前、13歳の時でした。競走馬時代は気性の難しい所があったようですが、社台スタリオンさんからは手がかからない馬だと聞いていました。その通り来た当初から手がかからず大人しい馬です、種付けシーズンに入るとイライラしたりする馬もいる中、グラスワンダーはマイペースに過ごしています。大きな病気もせず健康でずっとベスト体重を保っています。」ブリーダーズ・スタリオン・ステーションの村尾隆平主任が近況を教えてくれたグラスワンダーは、柔らかな朝日が差す中、輝く栗毛に身を包み嬉しそうに青草を食んでいた。

 スタッフに「グラス」と呼ばれているグラスワンダーは今年21歳になるが、若々しく馬体も充実して大ベテランの余裕が漂っている。「種付けはここ数年60~70頭をこなしています。ベテランらしく、ワーッと勢いで行くタイプではありませんが、元気です。しかし、すでに20歳を超えていますし、シーズン前は運動などをして体力作りをしようと考えています。グラス自身には一年でも長く種馬生活を元気に順調に過ごして欲しいですから。」去年まで同スタリオン・ステーションにいたアーネストリーや、孫世代でチャンピオンホースを2頭出す活躍を見せるスクリーンヒーロー。グラスワンダーの血が確実に残って行っている。「モーリス、ゴールドアクターあたりは種馬になってくれると思うので、グラスワンダーの孫が種馬になってそのままひ孫に繋がっていくので喜ばしいですね。繁殖牝馬のほうでもヤマカツエースの母ヤマカツマリリンなどもいてブルードメアサイアーランキングも少しづつ上がってきているので種牡馬として安泰ですね。産駒は長短距離どちらも活躍馬を出しています。グラス自身がそうだったようにダート、芝でも結果を出せるオールラウンダーだと思います。是非、クラシックに行けるような仔が出て来て欲しいですね。」村尾主任は力強く期待を込めた。

 今期のブリーダーズ・スタリオン・ステーションはトウショウドラフタの活躍で今が旬のアンライバルド、初年度産駒に大物がでるのではと期待大のトーセンホマレボシ、今年の宝塚記念ファン投票で第1位キタサンブラックの父、看板種牡馬ブラックタイドなど、明るい話題で持ちきりだ。「産駒が最前線で頑張ってくれているので嬉しいですね。安い種馬の仔が走るというのは夢があり競馬の醍醐味です。是非注目して頂きたいです。」今後の活躍に注目が集まりそうだ。