馬産地コラム

セイウンワンダーを訪ねて~JRA日高育成牧場

  • 2014年09月09日
  • セイウンワンダー
    セイウンワンダー
  • リラックス
    リラックス
  • 日々磨かれている馬体
    日々磨かれている馬体
  • 見つめる先には日高山脈
    見つめる先には日高山脈
  • 武藤さんを見つけて駆け寄って来る
    武藤さんを見つけて駆け寄って来る
  • 乗馬騎乗訓練は真面目
    乗馬騎乗訓練は真面目
  • 乗馬大会出場を目指して訓練中
    乗馬大会出場を目指して訓練中
  • 手入れは至福の時
    手入れは至福の時
  • 輝かしい成績の数々
    輝かしい成績の数々

 JRA日高育成牧場(浦河町)で乗馬として第二の生活を送っているJRA賞最優秀2歳牡馬セイウンワンダーを訪ねた。

 通算成績は朝日杯フューチュリティS(Jpn1)含め13戦4勝(重賞3勝)。獲得賞金は2億3,168万5,000円。もっと輝けるはずだった競走生活は、2012年、右前浅屈腱炎のため断念せざるを得なかった。

 そして同年秋、日高育成牧場に、5年ぶりに帰って来たのだ。

 乗馬としての一日の生活の流れはこうだ。朝6時朝飼い、7時30分放牧、14~15時集牧、16時乗馬としての騎乗訓練、手入れ、18時には厩舎に戻り、晩御飯を食べる。

 当初からセイウンワンダーを担当している武藤秀和さん(31)は「乗馬になったら気持ちをコントロールしないといけないんです。もともとやんちゃな性格なので、そういうところでの苦労はありました」と当時を振り返る。「今は大分落ち着いてきました。やんちゃで我が強い所は変わっていませんけどね(笑)でも、感情表現が豊かで、かわいらしい部分もたくさんあるんですよ。」と知りえない魅力も教えてくれた。

 また「他の馬とのコミュニケーションは好まない、一匹狼タイプなんです。以前、集団放牧したことがあったのですが、いつも一頭でポツンといて、他の馬が寄ってきても追い返してしまうんです。ですので、今は1頭で放牧しています」とのこと。だが、放牧中でも武藤さんを見つけると、足早に近づいて来てじっと見つめる一途な一面もあるようだ。

 この先について「浦河町内の春・秋馬術大会や、道内の小さな競技会に出して行こうと思っています。また、高校生の練習馬であったり、体験乗馬や引き馬などお客様に楽しんで頂ける馬になって欲しいです。」と抱負を語ってくれた。

 日高育成牧場総務課係長宮武哲也さんもセイウンワンダーには特別な思いがあると語る。「JRAの育成所で1歳の時から職員が世話をしていた馬が、競走馬を引退して、こういう形で戻ってきてくれるのは嬉しいです。JRAでは日頃から競走馬全体のレベルアップのために研究を重ね、育成馬で知りえた事を講習会を開いて公表しています。セイウンワンダーは実績が伴ったと思いますので、JRAの取り組みについて興味を持って頂ける機会になったのでは」と喜びの表情。

 セイウンワンダーについては「バスツアーなどの企画も考えています。たくさんのお客様とふれあって、ファンの方や、携わる周りの方々に愛されて、好かれて、いつまでも可愛がってもらえる馬でいてほしいですね!」と騎乗訓練に励む姿を見つめながら楽しげに話してくれた。