メジロベイリーを訪ねて~フォレブルー
青森県上北郡にあるフォレブルー(東北牧場)に、メジロベイリーを訪ねた。
2000年に朝日杯3歳ステークス(G1)を勝ったメジロベイリーは、引退後に青森は諏訪牧場で種牡馬生活に入った。その後北海道へ渡り、ビッグレッドファームで4シーズン過ごした後、2012年に再び青森に戻ってフォレブルーでの種牡馬生活が始まった。現在メジロベイリーを担当している長濱隆史さんは、諏訪牧場での種牡馬1年目の姿を目撃しており、その時の印象から、フォレブルーに来ることが決まった時には不安な気持ちもあったという。
「種牡馬になったばかりの頃は、暴れたり立ち上がったりして、全く抑えが利かなかったんです。だからうちに来ると決まった時には、もちろん嬉しさもありましたけど、かなり手こずるんじゃないかと覚悟しましたね。でも、年齢を重ねたことや、これまで過ごして来た牧場で色々教えてもらったようで、今はとても従順なんです。根が素直なんですよね」。今では、バタバタと暴れても、長濱さんに怒られるとすぐにシュンとして大人しくなるという。種付けに関しても、仕事だとわきまえているといい、種付時以外は牝馬に興奮することもないそうだ。暴れん坊だった種牡馬1年目とは違い、分別のわかる大人の男になったのだ。
現役時代は、7戦しか走ることが出来なかったメジロベイリー。しかし、その少ないレース数の中でG1を勝ったこと、サンデーサイレンスの直仔であること、さらに、兄メジロブライトは天皇賞馬であることなどから、種牡馬としての評価も高い。何よりメジロベイリー自身の、子供たちへ能力を伝える力が強いのだ。現在はグレートチャールズがオープンで活躍しており、これまでの産駒たちの通算勝利数は、中央地方合わせて153勝にも及んでいる。今年フォレブルーではメインで種付けをしており、今後生まれて来る子供たちも楽しみだ。
朝の放牧が終わり、馬房に戻ったメジロベイリーに会いに行くと、筋肉が柔らかそうに張り出していて、毛づやもピカピカだった。さすが現役の種牡馬だ。挨拶代りにニンジンを差し出すと、力強く張り出した顎で、バリバリと勢いよく食べていた。しかし…口の端からボロボロとこぼしてしまい、ほとんど飲み込めていない様子。それでも真剣な表情でニンジンを食べる姿は、とても愛らしかった。しばらくして、もうニンジンがもらえないとわかると、おねだりするわけでもなく、フラッと馬房の奥の方へ行ってしまったメジロベイリー。やはり、分別のわかる大人の男なのだ。