馬産地コラム

スクリーンヒーローを訪ねて~レックススタッド

  • 2014年07月10日
  • スクリーンヒーロー
    スクリーンヒーロー
  • 今季は過去最多の種付頭数を記録
    今季は過去最多の種付頭数を記録
  • 種牡馬入り後は気の強さを見せている
    種牡馬入り後は気の強さを見せている
  • 初年度産駒の活躍を受けて、人気上昇
    初年度産駒の活躍を受けて、人気上昇

 レックススタッドで種牡馬生活を送るスクリーンヒーロー(社台ファーム生産)を訪ねた。昨年デビューした初年度産駒の活躍を受け、今年は過去最多の交配頭数を記録している。

 「シーズン残り1か月を切り、すでに100頭を超す交配をしていますが、具合は良いです。繁忙期は1日3、4回こなして、混んでくると断らなければならないほどでした。種付けは何回もトライする馬ではなく、だいたい1回で決めてくれます。それほど時間はかからないタイプです。」と、様子を伝えてくれたのは、同スタッドのベテラン・泉山義春場長。シーズン5年目にしてレックススタッドの人気1位を争う存在へと成長し、馬産地の注目は高まっている。

 タフに仕事を終えて、もうすぐ夏休みに入る。7月後半は早朝~午後2時頃までを放牧時間とし、自由な時間を過ごしている。集牧時、簡単には帰ろうとしない馬で、スタッフの手を焼かせている。人間の指示を受け入れてくれるように、泉山場長は知恵を絞っている。

 「種牡馬入りして最初の年の後半から、気の強さが顕著になってきましたね。レックススタッドの中では一番、気が強いかもしれません。だいぶ年上のティンバーカントリーを連れてきて、大人しくさせる工夫をしましたが、相変わらずです。注意しながら管理しています。」と、苦笑いを浮かべる。写真を撮る際も泉山場長がなだめながら、ポーズをとらせた。

 名牝ダイナアクトレスの孫という血統で、現役時代は2歳秋にデビューした。ダートでポンポンと勝ってオープン入りした後、芝の3歳重賞で掲示版をにぎわせたが、クラシック出走はならず。故障による長期休養を経て4歳夏、出世レース・支笏湖特別を制すと昇級後も好走を続け、アルゼンチン共和国杯(Jpn2)で初重賞制覇を飾った。勢いそのままに中2週でジャパンカップ(G1)に挑戦。M.デムーロ騎手の手綱に導かれ、3頭の日本ダービー馬、グランプリホース、海外招待馬を抑えて堂々抜け出し、観衆の度肝を抜く勝利を収めた。それから5歳まで現役を続け、白星奪取こそならかったものの、天皇賞(秋)(G1)では勝ち馬から0.3秒差の2着に入り、G1馬の底力を示した。通算成績は23戦5勝。

 初年度産駒は約50頭が出走し、中央ではイダス、ゴールドアクター、モーリスが芝重賞に参戦し、さっそく見せ場を作った。地方でライズラインが岩手ダービー・ダイヤモンドカップを圧勝し、岩手のスターホースに君臨している。他にも、9馬身差をつけて新馬勝ちしたオーシャンヒーローや、現在2戦2勝のクライスマイルなど、大器を思わせる馬が現れている。「産駒は芝ダート問わず、根性もあり、インパクトのある競馬をしています。距離の融通性があるのも大きいです。」と、泉山場長。画面に大写しされる息子・娘たちの鮮やかな勝ちっぷりが、父の人気を押し上げている。

 たとえ能力があったとしても、G1を勝てずに終わる馬は数知れない。まして3歳以上の東京芝2400m、ジャパンカップ(G1)。真の力が試される条件で、国内外の一流馬を倒した事実は、まぎれもない彼の潜在能力の高さを示す。それは父としても、着実に発揮されようとしている。

 「前々から、かなり期待していましたからね。3歳世代だけでなく、2歳世代にも動く馬がいるでしょうし、今後も楽しみにしています。交配頭数は増えていますから、更に実績を上げていけるでしょう。ヒーローの産駒でG1を獲りたいですね。」