ショウナンカンプを訪ねて~レックススタッド
NHKマイルカップ(G1)に2頭の有力馬を送り込む種牡馬、ショウナンカンプ(大柳ファーム生産)を訪ねた。桜並木で有名な二十間道路にあるレックススタッドで、日々種付けをこなしている。
「4月のニュージーランドトロフィー(G2)で産駒ショウナンアチーヴ、ショウナンワダチが1・2着を決めてくれたおかげで、かなり交配頭数は伸びています。やはりインパクトがありましたね。ここ最近は1日3回ペースでこなしていますよ。普段は大人しいですが、牝馬を好む気持ちが強く、匂いにも敏感です。受胎率は良いですよ。」と、紹介してくれたのは、同スタッドの泉山義春場長。シーズン中は朝の種付けに備え、早朝3時から放牧している。桜並木の方から映える朝日を眺めるのが日課だ。カメラマンが近寄ると、まるでシャッター音を理解しているように耳を立ててポーズを取った。G1馬らしい仕草だ。
サクラバクシンオー産駒のショウナンカンプは、1998年生まれの16歳。その血統らしく、現役時代は短距離の逃げ馬として好成績を収め、8勝をマークした。3歳夏に未勝利を脱出し、ダートで快調に勝ちをさらって上のクラスへ。デビューから11戦目で芝に矛先を向けると更に高い能力を発揮し、準OP、OPを連勝するや、その勢いで高松宮記念(G1)制覇まで上り詰めた。その後は芝短距離重賞で活躍し、スワンS(G2)、阪急杯(G3)ではG1馬の底力を見せつけるように快勝。日本を代表して香港にも遠征した。
種牡馬入り後は7世代がデビューし、シルクロードS(G3)2着のショウナンカザン、阪神ジュベナイルフィリーズ(Jpn1)4着のショウナンカッサイを送り出したが、今年まで産駒の重賞制覇ならず、3年連続で種付頭数がひとケタに落ち込んだ時期もあった。すぐに結果を出せない種牡馬には、引退の危機が迫るほど種牡馬界はシビアだ。しかしながら、地道に交配に励んだことが今日の人気につながった。どうやら11年目にして過去最多の交配頭数を記録することになりそうだ。
「種付けはすでに40頭を超しているので、最終的には60~80頭ぐらいになりそうです。産駒は父同様、芝1200m~1600mの実績が顕著ですね。繁殖次第では距離をこなせるタイプも出していけるでしょう。」と、泉山場長。サンデーサイレンス系、ミスタープロスペクター系肌馬との相性は良く、種付料も実にリーズナブル。彼の魅力を改めて見直す生産者も増えているに違いない。自身も得意とした「芝1200」「芝1400」「ダ1200」といったカテゴリーは新馬・未勝利戦の定番。きっちり白星を射止めるには、ぴったりなイメージが沸いてくる。
そして、いよいよ栄冠へ期待のかかる春。昨年暮れの朝日杯フューチュリティS(G1)では惜しくも2着に敗れたが、その悔しさを晴らしたい。泉山場長も父仔G1勝利を願っている。「アチーヴもワダチも東京競馬場で勝っていますし、舞台は向きそうですね。結果次第では、今よりもっと種付けが増えるでしょうし、レースを楽しみにしています。今年16歳となりますが、20歳になる前に何とか成功させたいです。」