ノボジャックを訪ねて~日高スタリオンステーション
浦河町の日高スタリオンステーションで種牡馬生活を送るノボジャック(アメリカ産)を訪ねた。3歳世代の産駒ミスタージャック、ラブバレットが地方重賞を制し、JRAのダイチトゥルースは川崎・全日本2歳優駿(Jpn1)で入着。粒揃いの3歳世代の後押しを受けて、交配頭数アップを目指している。
「今年17歳となりましたが、特に衰えはなく、体調は安定しています。種牡馬というのは概ね長く若さを維持する傾向がありますが、まさにそんな感じですね。普段はおっとりしていますが、朝、放牧地に出る時は走り出すぐらい元気です。夏場はよく青草の上を走っていますよ。」と、近況を話してくれたのは、スタリオンスタッフの野表一秀さん。種付けシーズン前は早朝~正午前までを放牧時間とし、調馬索で運動もしている。
現役時代はタフに走って43戦11勝。ダートの短距離~マイルを得意とし、勝ち星の全てはダートだが、2歳時には芝でも好走し、京王杯3歳S(G2)2着の実績と、朝日杯3歳S(G1)、NHKマイルカップ(G1)出走歴を残す。2・3歳時から頭角を現し、4歳春の黒船賞(G3)制覇を皮切りに快進撃を果たし、6連勝でダートの祭典・JBCスプリント(G1)王者の座についた。その後は7歳まで堅実に走り、全国各地の競馬場に遠征して優れたスピードとパワーを発揮した。
2005年より種牡馬入りし、これまで100頭近い産駒がデビュー。そのおよそ3分の2以上の馬が勝ち馬となっている。交配頭数は2010年に記録した70頭が最多で、その3歳世代の躍進から、今年は人気再燃も予想できる。
「父同様、産駒はダートの短距離を中心に勝ち星をあげ、中身の詰まった馬体をしています。サンデーサイレンス系牝馬とも交配できる血統も強みです。ダイチトゥルースは重賞2着馬の半弟、ラブバレットは祖母が重賞馬と、中でも優秀な血統との交配でしっかり結果を出しています。まだまだ可能性を秘めた馬ですよ。」と、野表さんはPR。種付料は産駒誕生後20万円(牝馬の場合は無料)とリーズナブルで、そのあたりも魅力につながるだろう。
寒さのピークを迎え、放牧地でノボジャックは馬服を着て過ごしている。正午近くになって暖かくなってくると、気持ちよさそうに目をとじて休んでいる。向かいにいるゴールドヘイローの視線も意に介さず。野表さんは友達と話すように、ノボジャックとコミュニケーションをとる。そのリラックスした様子は、競走馬時代に見せた叩き合いのシーンとは、少しギャップがある。まるで、あの時の勝負根性を産駒のためにとっているかのように。
「コンディションはずっと良いので、あとは昨年以上の交配数をマークしたいですね。オープン馬の多い3歳世代が中央・地方で活躍してくれることを願っています。」