フォーカルポイントを訪ねて~にいかっぷホロシリ乗馬クラブ
2004年の京成杯(G3)の覇者、フォーカルポイント(白老ファーム生産)を訪ねた。現在は新冠町のにいかっぷホロシリ乗馬クラブで乗用馬生活を送っている。
長く競馬を見ていると、何年かに一度、横綱・大関級がズラリと揃う「最強世代」に出会うことがある。フォーカルポイントはまさにその世代で、同じ2001年生まれにはカンパニー、キングカメハメハ、コスモバルク、スイープトウショウ、スズカマンボ、ダイワメジャー、デルタブルース、ハーツクライ、メイショウボーラーといった豪華な顔ぶれが並ぶ。今も変わらずに輝き続ける看板ばかりに、世代の持つ底力を感じる。
「後のダービー馬を破って重賞を勝った馬ですからね。その能力は並大抵ではなかったと思います。芝での実績が示す通り、乗っていると素晴らしいバネを感じます。人に対しては大人しいですが、馬同士では強いタイプですね。」と、紹介してくれたのは、第2の馬生を支える加藤結さん。同乗馬クラブでインストラクターを務め、初心者・経験者へ乗馬の技術や醍醐味を伝えている。
フォーカルポイントは現役引退後、新冠町の牧場から同乗馬クラブへと移動し、厩舎では新入りの存在。乗用馬としての道を歩むために、日々トレーニングが課せられている。
「昨秋にはスタッフが騎乗するトレッキング誘導馬の起用を始めました。最初はよく物見をしていましたが、経験を積むことで解消されてきましたね。今年の夏にはお客様の受け入れができるよう、トレーニングを進めています。」と、加藤さん。全国から来る利用者を背にした先輩馬ダイワテキサス、ライブリマウントらを先導し、森を歩く姿はだいぶ様になってきた。加藤さんは、「人間の指示に従い、森の中でも落ち着いて歩くこと、立ち止まることを地道に繰り返しています。反復練習を経てだいぶ上達してきました。競走馬時代とは違って、ここでは“走れ”という指示はあまり使いません。人間が乗っても走らなくて良いんだ、と理解してもらうまで、コミュニケーションを図りながらじっくり調教しています。」と、学校の先生のように彼の成長ぶりや課題を語る。
厩舎から外へ出ていく時の、フォーカルポイントの足取りはとても軽やかだ。厳しい冬が訪れても、体調面の不安はないという。元気があって、飼い葉も残さずよく食べる。第2の馬生に向け、手がける加藤さんの言葉は明るい。
「気力体力ともに十分ですし、乗用馬としてこれからの馬です。この調子でトレーニングを進めて、お客様に安心して乗っていただけるように努めていきたいです。また、時々見学のファンの方もいらっしゃいます。冬季も見学可能な乗馬クラブなので、北海道での温泉やスキー旅行と合わせて、是非お立ち寄りいただきたいです。」