クーリンガーを訪ねて~にいかっぷホロシリ乗馬クラブ
新冠町のにいかっぷホロシリ乗馬クラブにいる芦毛の重賞馬、クーリンガー(浦河日成牧場生産)を訪ねた。
今年10月に優駿スタリオンステーションから移動し、乗用馬としての第一歩を踏み出した。
「飼い葉をよく食べていますし、環境の変化には慣れてきています。群れに溶け込むために、放牧地では他の馬たちとコミュニケーションを図っている様子ですね。少し寂しがり屋な面があって、友達を探すように色々な馬にくっついています。」と、近況を話してくれたのは、同乗馬クラブの加藤結さん。放牧地ではダイワテキサス、ナリタセンチュリー、ライブリマウントといった重賞馬と一緒に過ごしている。来年夏以降にはお客さんを乗せてトレッキングや引き馬ができるよう、毎日1時間ほどトレーニングを積んでいる。
「さすがはダート重賞馬で、筋肉が発達していてパワーを感じさせます。この先のトレーニング次第となりますが、来年の札幌競馬が始まる頃には、お客様にも乗っていただけるように、コツコツとトレーニングに励んでいきたいと思います。」と、加藤さんは意気込んでいる。
名種牡馬フォーティナイナーの直仔であるクーリンガーは6月生まれ。テイエムオペラオーと同じく岩元市三厩舎・和田竜二騎手とのタッグで9歳まで走り、ダート中長距離を得意とした。G1こそ2・3着に甘んじたが、重賞6勝を含む10勝をマークし、5億円近い賞金を獲得した。JRAでは札幌、福島以外の8場を走り、地方競馬でも7場に参戦し、全国のダートレースをあまねく沸かせた。
引退後は種牡馬となり、これまでに13頭がデビュー。父と同じ浦河日成牧場生まれの産駒ゴーイングベルは初勝利まで13戦を要したものの、現在ではJRA・500万クラスで好走している。その血統を思わせるように、初勝利はダートの中距離。若き日の父の姿を追いかけ、タフで息の長い活躍が見込めそうだ。
JRA勝利を収めた産駒にも受け継がれている真っ白な風貌は、厩舎・放牧地ではひと際目立っている。新緑の季節になれば、森のトレッキングコースで一層映えるだろう。加藤さんは、「汚れが目立ちやすい毛色なんですが、クーリンガーの個性を保てるように、毎日時間をかけて手入れしています。移動してまもないですが、見学にいらっしゃる方は多く、人気の高さを実感しています。今後は同じ厩舎にいるダイワテキサスやライブリマウントのように、クラブの看板を背負うような馬になって欲しいですね。」と、期待を込めている。カメラを向けると、すぐさまポーズをとってくれて、ファンサービスの態勢が頼もしい。冬季はじっくりと乗用馬としての鍛錬にあて、転身を促す日々だ。競走馬デビューした午年から一巡し、次の午年は乗用馬デビューする年として、その門出は深く刻まれるだろう。