馬産地コラム

アロンダイトを訪ねて~ノーザンホースパーク

  • 2013年08月26日
  • アロンダイト
    アロンダイト
  • のんびりした気性をしています
    のんびりした気性をしています
  • 「NHP48総選挙」では14位でした
    「NHP48総選挙」では14位でした
  • 現場での呼び名は「アロン」
    現場での呼び名は「アロン」

   2006年のJRA賞・最優秀ダートホースで、現在は苫小牧市の観光施設・ノーザンホースパークで余生を過ごしているアロンダイト(ノーザンファーム生産)を訪ねた。アドマイヤジュピタ、デルタブルース、トウカイポイント、ブランディスらとともに、ノーザンホースパーク在厩馬のG1ホルダーとして、引退後も全国のファンと対面している。

    「体調は良く、ふっくらしてきましたね。日中はノーザンホースパークの展示馬として、夕方はノーザンファーム・ノーザンホースパークの騎乗スタッフが跨り、騎乗訓練のパートナーとして活躍しています。操縦しやすい馬で、賢いですね。」と、近況を語ってくれたのは、同園乗馬課主任の粕谷英樹さん。現場での呼び名は「アロン」。騎乗訓練では主に新入社員や20代の若手社員が、アロンのお世話になっているという。

   現役時代は16戦5勝。早世した父エルコンドルパサーにとっては最終世代の産駒で、祖母がアイルランドオークス馬、母はフランスG2で3着、甥に今年のジャパンダートダービー(Jpn1)を圧勝したクリソライトがいる。

   後のG1馬ながら、意外にも勝ち上がりは3歳6月と時間を要したが、そこからの快進撃が凄まじかった。夏から秋にかけて500万下、1000万下、1600万下と連勝し、勢いそのままにジャパンカップダート(G1)に挑戦。レースは内ラチ沿いをピッタリと回り、G1好走歴を光らせるシーキングザダイヤや後にG1を制すヴァーミリアン、サンライズバッカスらを抑え、最後の直線で抜け出した。ゴール後、鞍上の後藤浩輝騎手が左手で力強くガッツポーズ。つい半年前まで未勝利馬だった3歳馬が、5連勝でG1制覇を決める、鮮やかなヴィクトリーロードだった。その後は故障で長期休養を余儀なくされ、4歳秋に復帰を果たしたが、残念ながら6勝目を果たせずに引退となった。

   インターネット動画サイト「YouTube」には、今夏、同園で行われた人気投票企画「NHP48総選挙」に向けての、アロンダイトPR動画が掲載されている。競馬場ではよく黒いメンコを着用していたが、素顔はカーブを描く流星の持ち主。直線で鋭く抜け出したG1制覇の走りとは対照的に、スローテンポで歩く映像が流れる。周りに惑わされず、自分のペースを信条としているようだ。

   「チャカチャカすることはなく、普段はのんびりした気性をしていますね。NHP48総選挙など、イベントを通じても広く引退後の生活を紹介していきたいです。」

と、粕谷さん。一見、馬房でボーっと立っている姿には、何だか癒しを感じる。呼んでも気づいたり、気づかなかったり_そこがまた彼らしい。今日もまた多くのファンの声に、のんびりと耳を傾けているだろう。