インティライミを訪ねて~ノーザンホースパーク
佐藤哲三騎手とのコンビで重賞3勝を挙げたインティライミ(ノーザンファーム生産)を訪ねた。引退後は故郷から近いノーザンホースパークで乗用馬となったが、その後慶応義塾大学馬術部所属馬に一時転身。若者たちに囲まれてしばしの“キャンパスライフ”を経て、今年2月、ノーザンホースパークに戻ってきた。
「こちらに来てからも体調は良く、元気に過ごしています。いつもは朝に放牧し、開園時間中は厩舎でお客様に公開しています。牧場スタッフの騎乗練習用馬となれるように、毎日訓練(運動)をしているところです。」と、近況を伝えてくれたのは、同園乗馬課主任の粕谷英樹さん。血統は父スペシャルウィークで、その父サンデーサイレンス。その血を受けてだろうか、気の強い面はあるらしい。今年11歳となる馬体は若々しく、毛ヅヤが冴える。
現役時代は29戦5勝。2005年、“最も運の良い馬が勝つ”と言われる日本ダービー(G1)に、インティライミの姿があった。京都新聞杯(G2)を快勝し、一躍クラシック候補となって2番人気に推された。直線では鋭く伸びて先頭に立ち、後続を一気に突き放し、一旦は勝ちパターンに持ち込んだが、最後はディープインパクトの末脚に屈してしまった。完璧な競馬、120%の競馬とも言える両馬の走りはダービー史に残る激闘だった。レースの模様はインターネットの動画サイトで、60万近い再生回数を記録している。
見学厩舎に行くと、インティライミが気分良さそうにくつろいでいる。夏になって、北海道は観光シーズン真っ盛り。厩舎の通りもにぎやかだ。「馬房の前でじっくりと見学される方をよくお見受けします。近況について質問を受けることもありますね。ファンの多い馬なのだと改めて感じています。これからも多くの方に会いに来て欲しいです。」と、粕谷さん。時折、レースでの感動や悔しさを語るファンの声も耳にしているのかもしれない。自分が有名馬であることを、日々実感していることだろう。敗れはしたものの、あのダービー(G1)を盛り上げた一頭として、いつまでも大きな顔をしていて欲しい。